他人は「勝手なイメージ」を抱いているもの
多くの人は、仕事だけで接するような人については、案外、相手がどんな考えを持っているのか、どんな人物なのかを知りません。しかし、見た目や話し方の雰囲気、学歴、年齢だとか、そういった表面的な情報は知っています。
そして、それらの情報を根拠に、多くの人は「勝手に」かなり詳細な人物像を頭の中で作り上げてしまいます。例えば、地元の内科クリニック院長のA先生について、こんな表面的な情報だけ知っているということもあるはずです。
・50 代で、いつもメガネ。やや明るい色に白髪染めをしている
・話し方は真面目で、雑談はしない
・父も祖父も医者で、地元のクリニックを受け継いだ
・一人娘が高校生の時からロンドンに留学
・愛車は真っ白な高級なポルシェで、高そうな時計を着けている
多くの人は、これらの極めて表面的な情報から、勝手にこの人の性格や思考のパターンなどを予想します。この時の予想は人によって、本当にバラバラです。過剰に悪意を持っている人がいたり、その逆で、異常なほど尊敬するような人がいたりと、ほんとうに様々な人がいるはずです。
寡黙で真面目、愛想が悪い、お金持ち…
まずは、あなた(40代・男性)はA先生の診察をうけたことがあります。そして、あなたは近所の人に、「A先生って、どんな人?」と聞かれたら、こんな感じに答える人物だとしましょう。
「A先生は、寡黙で真面目な先生。ただ、俺たちみたいな普通のサラリーマンにはいないような、明るい色の白髪染めをしてるし、プライベートはもっと派手なのかもしれないね。でも、サクサク診察をこなしてくれるから、いい先生だと思うよ」
しかし、あなたの奥さん(妻)は、A先生をこんな人物と思っているとします。
「A先生は、ちょっと愛想が悪い感じ。診察もパパッとやって、すぐに次の人を呼びたいのかなって感じで、あんまり好きじゃないな。しかも、病院の前にとても高そうな車を見せつけるように停めちゃって……」
次に、あなたの子ども(息子)は、A先生のクリニックにかかったことがありますが、こんな風にA先生の人物像を捉えていました。
「A先生ってやっぱり、お金持ちだよね! A先生の家に生まれたかったよ。俺と同い年の女の子がいるけど、高校からロンドンに留学してるらしいじゃん。お医者様って、やっぱり一般庶民とは、全然生活が違うよね〜」
みんな勝手ですね(笑)! こうやって多くの人は、勝手気ままに、よく知らない人のことでもどんな人か決めつけた上で接しています。