幼少期から極端に口数が少なかったという放送作家の渡辺龍太さん。アメリカ留学でインプロ(即興力)を学んだことがきっかけで大きく変わり、今ではプロ芸人向けのアドリブ講座で講師を務めるほどに。そんな渡辺さんは「自分のことを地味だという人に限って実はおもしろい話ができる」と話す。おもしろい話をする3つのテクニックとは――。

※本稿は、渡辺龍太『おもしろい話「すぐできる」コツ』(PHP)の一部を再編集したものです。

母と娘の会話
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「おもしろい人」になるためのコツ

1本目2本目の記事では、ウケるためには自分の感情をそのまま伝えることが大切ということをお話しました。今回は、自分の感情を相手に伝えるための、とっておきのコツを紹介します。これらを使いこなせれば、するすると自分の思いを相手に伝えて、「おもしろい人」と思われるようになるはずです。

私のやっている雑談のワークショップでは、よくこんな現象が起きます。

【私】今、友人に会ったとおっしゃいましたが、その時、どんな感情でしたか?

【生徒】感情? 特にないですね。しょっちゅう会っている友人ですし……

このように、その時の自分の感情を忘れてしまったか、あるいはうまく言葉にできないと感じて、言葉に詰まってしまう人がいます。

感情を引き出す質問

しかし、私が質問をこんな風に変えると、反応が変わります。

【私】友人に会った時に湧いた感情を2択で考えるなら、ポジティブですか? それとも、ネガティブですか?

【生徒】どっちでもないような……」

【私】授業ですから、強いて言うならでいいので、強引に選んでください!

【生徒】そうですか。じゃあ、うーん……2択というなら、かなり強引ですけどポジティブですかね。でもなぁ〜、代わり映えのしないメンバーと会っただけなので。だから、『またか!』みたいなところもあって、そこまで嬉しいとか、そういうのでもないんですよね〜。

ここで傍線を引いているところに注目してください。ここに、この生徒の内面の感情がしっかりと出ています。ここを見て、「この人が何を感じていたのかが伝わった」と感じた人も多いはずです。ここで皆さんに覚えておいてほしいポイントが、2つあります。

・人間の頭の中には「感情データ」が保存されている
・人間には「自分の発言に対する補正力」がある