口から出す感情は、少しでいい

ここまで、説明する時のコツとして絵描き歌についてお話ししてきましたが、さらに細かいコツとして、「3つのテクニック」をご紹介しましょう。

まず1つ目は、「口から出す感情は、少しでいい」。理解している人がほとんどだと思いますが、おもしろい話をするには、自分のリアルな感情を相手に伝えることが重要で、その分量自体は、それほど多くなくてもいいのです。

この章の初めに紹介した生徒の例文を、もう一度、見てみましょう。

【生徒】そうですか。じゃあ、うーん……2択というなら、かなり強引ですけどポジティブですかね。でもなぁ〜、代わり映えのしないメンバーと会っただけなので。だから、『またか!』みたいなところもあって、そこまで嬉しいとか、そういうのでもないんですよね〜。

この傍線部が感情を説明している部分ですが、これだけで十分すぎるほど、どんな感情を抱いているのかが伝わっていると思いませんか? だから先ほど、猫の置物の写真を説明した時のように、事細かに描写する必要はないのです。

そもそも、普段、大半の人は感情を聞き手に伝えることすらしていないので、ちょっと感情を出しただけで、「ズレたカツラ理論」が成立するのです。

ポジティブかネガティブか、2つに仕分ける

2つ目のコツは、「感情は2種類に仕分ける」。

私が生徒に「その感情はポジティブですか? それともネガティブですか?」と質問したことを思い出してください。こう質問された生徒は「かなり強引ですけど、ポジティブですかね」という発言をして、それが「隠れ操作コマンド」として機能しています。

このように、なかなか自分の感情を説明できないと思っている人は、多少強引でもいいので「この経験はポジティブ/ネガティブのどちらかな?」と2種類に仕分けしてみてください。