「大雑把な感情表現」から話は自然と発展していく

ただし、それをいざ口に出そうと思っても、日本語として「この前の体験は、ポジティブ/ネガティブでした」というのは、一般的な表現ではないと思います。ですから、「いい気分になった(ポジティブ)」「イヤな気分になった(ネガティブ)」という、2つの言葉で表現するようにしてみましょう。

そうすれば、その「大雑把な感情表現」が引き金となって、自分の感情がするすると出てくるのではないかと思います。

ちなみに、もしこの時に違う表現がしっくり来たり、自然と口に出るようであれば、もちろんそちらを使ってください。今お伝えしているテクニックは、そっくりそのままやれば「おもしろい話」が成立するというマニュアルというより、「こうやれば初めての人でもうまくいくよ」という最低限の指針です。

ですから、今後紹介するテクニックに対しても、「自分はこの方がしっくりくる」というものが浮かんだ場合には、遠慮なくそちらを優先してください。その方が、自分の個性が活きた、より「おもしろい話」を成立させやすいトークになるはずです。

誤解や失敗を恐れずに

最後、3つ目のコツは、「間違った感情表現を恐れない」。

多くの人は、まわりの人から誤解されたり、失敗することが大嫌いです。だから、いざ自分の感情を他人に説明しようと思った時、言葉のチョイスにとてもナーバスになる人が多いのです。特に、自分の感情の大雑把なカテゴリを口にするというのが、大きな誤解を生むのではないかと、とても不安になる人がいます。

しかし、それはムダな心配です! むしろ自分の行動だけを述べて、相手の解釈に自分の感情を委ねるほうが、よっぽど誤解が生まれやすいと言えます。それにもかかわらず、これまで特段、人間関係において大きな問題など起こっていない人がほとんどではないでしょうか? ですからそういった人が、ナーバスになる理由はどこにもありません。

それに、自分の言葉で自分の感情を説明している時は、いつでも自分のさじ加減で発言を訂正できます。例えば、もし、「『イヤな気分になりました』は表現がキツすぎた!」と感じたら、その後に「まあでも、ホンの少しですよ!」と付け加えればいいだけです。そうすれば、何の問題も発生しません。

というか、その口にした発言に対する違和感を訂正する作業こそが、自分の感情を素直に表現する「隠れ操作コマンド」そのものであると言っていいぐらいです。