「マラソンも2時間4分30秒くらいまで行けると感じています」
勝利の方程式は存在するだろう。スポーツでもビジネスでも一度コツをつかむと、同じやり方を繰り返す人がいる。しかし、佐藤は常に“新たな視点”を持つようにしているという。
「ルーティンもそうですが、決め事を作ってしまうと考え方に偏りができてしまい、新たなことを吸収できなくなる恐れがあります。いまの自分の身体は変化が激しいので、それに応じてトレーニング方法、リカバリーの仕方を変えないといけません。そこで決まり事を作ってしまうと、新しいことを試せなくなる。なるべく固定観念を持たずに、常にアップデートできるようなスタンスでいることを心がけています」
各世代の記録を塗り替えて、トラックや駅伝では無双を誇った佐藤だが、やり残したことがふたつある。ひとつはマラソンでの活躍。もうひとつは日本記録の樹立だ。マラソンの自己ベストは2時間8分58秒。トラックや駅伝の走りから考えると明らかに物足りない。元日のニューイヤー駅伝4区ではびわ湖毎日マラソンで2時間6分台をマークした細谷、井上、小椋に完勝しているだけに、本人も自身のマラソンに大きな可能性を感じている。
「びわ湖で日本記録(2時間4分56秒)が出ましたけど、いまやろうとしていることがうまくいけば更新可能な記録だと思っていますし、2時間4分30秒くらいまでは行けるんじゃないかなと感じています。あとはどこまでマラソン練習ができるのか。その覚悟だけだと思っています」
“天才ランナー”と呼ばれた男にはどんなクライマックスが待っているのか。佐藤悠基の競技人生はまだまだ終わらない。