34歳にして東京五輪男子マラソン代表内定選手を蹴散らす快走
人間だれしも、年齢を重ねれば、老け込む。
とりわけ体力がパフォーマンスに影響大なアスリートにとって、加齢は最大の敵といえるが、30代も中盤に入ってなお輝きを放ち続ける長距離ランナーがいる。2020年11月26日に34歳を迎えた佐藤悠基だ。
佐藤はチームの縮小化を進めている日清食品グループから11月1日にSGホールディングスに移籍。12月4日の日本選手権10000mでサードベストとなる27分41秒84で7位に入った。
佐藤以外の入賞者は23歳(①相澤晃)、22歳(②伊藤達彦)、25歳(③田村和希)、29歳(④河合代二)、30歳(⑤鎧坂哲哉)、29歳(⑥大迫傑)、20歳(⑧田澤廉)。年齢的には佐藤がダントツで“高年齢”である。
それにもかかわらず、元日の全日本実業団駅伝(ニューイヤー駅伝)では最長4区(22.4km)で怒涛の14人抜きを披露。同じ区を走った、東京五輪男子マラソン代表内定の中村匠吾(富士通)、ハーフマラソン日本記録保持者の小椋裕介(ヤクルト)、日本選手権10000mで日本新記録を叩き出した伊藤達彦(Honda)らを抑えて区間賞を獲得している。
佐藤は日本長距離界で燦燦と輝くエリート街道を駆け抜けてきたランナーだ。中学(3000m)、高校(10000m)、U20(5000m)と各世代の記録を塗り替えると、箱根駅伝では3年連続(東海大学)で区間新記録を樹立。日本選手権10000mでは4連覇(11~14年)を達成して、ロンドン五輪(12年、5000mと10000m)にも出場した。
日本長距離界では“走る伝説”になりつつある佐藤だが、高校時代は5000mで高校記録を打ち立てた佐藤秀和(仙台育英)、大学時代は北京五輪10000mにも出場した竹澤健介(早大)。超強力なライバルに敗れたことで、さらに強くなった。
「世代のトップにずっといて、常に追われる立場だったので、『負けたくない』という気持ちでやってきました。負けたら悔しいですし、自分ならもっとできると思い続けられたことが大きかったと思います。負けるときは、自分のパフォーマンスをしっかり発揮できなかったことに原因がある。その原因を突き止めて、より良いトレーニングをすれば勝てる、という気持ちがありました。それを継続してきた結果だと思っています」