オフィス規模を半分に縮小する富士通
人材紹介会社エンワールド・ジャパン株式会社が11月に行った「新型コロナウイルス禍での「在宅勤務における企業の従業員サポート調査」では、20%の企業が毎月の在宅勤務手当を支給している一方で、65%の企業が「定期代の支給」を停止し、出勤日数に応じた支払いに変更している。このように、働き方に応じて必要な手当ても変わってきている。新型コロナウイルスが拡大する以前よりも自宅にいることが長くなり、各家庭では日用品・光熱費・通信費の支出が増加していると考えられる。
また、コロナ前から進んでいた話とはいえ、タイムリーなニュースになったのは、富士通のケースだ。コロナ禍の2020年7月6日、従業員の新しい働き方として「Work Life Shift」を発表した。それによると、2022年度末までに50%ほどまでオフィスの規模を縮小し、基本的にすべての従業員が在宅勤務に移行する予定となっている。また、在宅勤務を実施する従業員に対して、業務環境を整備するために、毎月5000円の在宅勤務手当が支給されているという。
一般的に在宅勤務手当の支給額の相場は、3000~1万5000円と企業によってかなりの開きが出ている。1人当たりのオフィス床面積は3坪と言われる。これを半減すると1.5坪で、坪2万円のオフィスなら、1人3万円の削減効果となる。これを原資として、在宅手当てを考えると3000~1万5000円というのは妥当なところだろう。
サイバーエージェントの「2駅ルール」
勤務年数の長い社員が多い企業とは逆に、新興企業では手厚い手当が売りになっている。
有名なところでは、サイバーエージェントの「2駅ルール・どこでもルール」がある。勤務しているオフィスの最寄り駅から各線2駅圏内に住む正社員に対し月3万円、5年以上勤続している正社員に対しては、どこに住んでいても月5万円の家賃補助が支給される。同様の制度がクックパッドにもあり、新興IT企業を中心に人材採用の工夫が盛んである。例えば、IT企業が渋谷にオフィスを構えたり、大企業が食堂などを完備する事例がある。
マンパワーグループが2015年に行った調査では、従業員の方があると嬉しい福利厚生は1位「住宅手当・家賃補助」(48.3%)、2位「食堂、昼食補助」(33.9%)という順位だった。このように、住宅手当や家賃補助は社員の懐具合の改善に直接繋がるのは事実だ。