年収400万円以上の社員には、持家取得を後押しするべきだ
自宅が安全でインフレしやすい資産であることと老後に資金をかけずに住み続けることを考えると、会社の住宅手当制度は持家促進をすべきであることは明白である。年収が400万円を超えると住宅ローンの借り入れ条件は良くなるので、それ以下の年収の社員には家賃補助を中心に、それ以上は持家取得のインセンティブが理想的で、そうしたマイホームに関する教育も人事部は考えたほうがいい。
持家促進に最も適した制度に財形貯蓄制度がある。財形貯蓄制度は、企業側で給与から一定額を天引きして貯蓄する制度だ。この積立額の10倍の住宅購入融資額(上限4000万円)が受けられる、財形持家転貸融資というものがある。月3万円で5年間貯蓄をすれば180万円。これだけで1800万円の住宅ローンが今なら5年固定で0.68%の低利で借りられるのだ。
この融資は金融機関から事業会社を経て転貸する形を取るので、事業会社が負担軽減措置を取ることが推奨されている。つまり、制度設計によっては返済の金利を会社に肩代わりさせることもできる。
この制度の唯一のデメリットは退職時に一括返済する必要があることだろう。だからこそ、企業にとっては長期に働く人材確保に役立つ側面もある。しかし、利用者も退職と同時に売却すればデメリットにもならないはずだ。
というのも、私は、自宅は若いうちから独身でも購入し、世帯人数に合わせて5~10年で住み替えを推奨している。資産形成しているなら、売ることで利益確定したら現金が増えていることになる。そんな選択肢を真剣に検討してはいかがだろう。