大家がリフォーム代として900万円を遺族に請求
ゴミ部屋の片付けでは大家とのトラブルも少なくないという。
ゴミ部屋で孤独死したある1DKの賃貸物件では、その大家が遺族に対し、リフォーム代として900万円を請求した。その物件は、生前はゴミ部屋だったが、「あんしんネット」の作業によって室内のゴミは全て処理していた。室内には傷みもあったが、孤独死した人は20年近く住んでいて、「経年劣化」と考えることもできる。石見さんは遺族の負担を軽減するため、知り合いの弁護士に相談をもちこんだ。
石見「大家さんが孤独死した人の遺族に、原状復帰としてのリフォーム代を請求するのは当然なのですが、長く住んでいた人の場合は、どこまでを請求するのか難しいところです。その案件は、われわれが作業後に風呂場や室内の状況を撮影していて、そこまで傷んでいないことは明らかでした。ですから弁護士に写真を提供して、大家さんと話し合い、請求額を90万円にまで減額してもらいました」
数百万円のリフォーム代が大家負担となったケースも
一方で、大家が気の毒なケースもある。
私が今月関わった現場では、家賃を数年滞納している上に室内がゴミでいっぱいという状況だった。その人は30年近くその部屋を借りていたのだが、ここ数年失業状態にあり、家賃が払えなくなったという。大家は退去命令を出し、居住者は出ていったものの、あんしんネットがゴミを撤収する作業代、室内のリフォーム代はすべて大家の負担になる。その額、数百万円におよぶ。
涙目の大家から事の顛末を聞いて、大家を“守ってくれる”存在はいないのだと実感した。
もっと気の毒なのは動物(=ペット)だ。人には福祉制度があるが、ペットには何もない。最近は、孤独死現場での「ペットの置き去り」が問題になっているという。
石見「死後2週間たった現場で、猫がポツンと鳴いていたことがありました。その猫は同じマンションの方が引き取ってくれましたが、ペットが一緒に死んでいるケースも少なくありません」