分けて単純にして、つないでいけばいい
精査した結果、1文の長さは「60文字以内」が好ましいことがわかりました。
また、「80文字だと長すぎる」ことも、多くの書籍に共通する意見でした。
劇作家の井上ひさしさんが、「分けて分けて分けて、単純にして、それをつないでいけばいいんです。それが基本です」(『井上ひさしと141人の仲間たちの作文教室』/新潮社)と述べていたように、短い文を積み重ねるのが文章の基本です。
「1文」が短くなれば、「文章」もおのずとシンプルになります。
×悪い例
消費税は、商品・製品の販売やサービスの提供などの取引に対して、広く公平に課税されますが、生産、流通などの各取引段階で二重三重に税がかかることのないよう、税が累積しないしくみが採られています。(95文字)
悪い例は1文が長いため、2つの文に分けたのち、太字部分を削っています。「税が累積」を削ったのは、「二重三重に税がかかる」と意味の重複が見られるからです。
50文字に収めても読みにくいケースは
文字数(1文60文字以内)を数えなくても、「ワンセンテンス・ワンメッセージ」を心がけると、文は自然と短くなります。
センテンスとは、「文」のこと。ひとつの文に入れる内容をひとつに絞ると、「一読で理解できる文」になります。1文の中に複数の情報が盛り込まれていると、1文が短くても、わかりにくくなります。
○良い例
消費税は、商品・製品の販売やサービスの提供に対して、公平に課税されます。(36文字)
生産、流通などの各取引段階で二重三重に税がかからないしくみが採られています。(38文字)
×悪い例
会議は明日の午前9時から、本社3階の第1会議室で行ない、新商品の販売促進プランについて話し合います。
○良い例
会議は明日の午前9時から行ないます。場所は本社3階の第1会議室です。新商品の販売促進プランについて話し合います。
悪い例は50文字。1文の目安となる「60文字以内」に収まっています。ですが、3つの内容(①開始時間/②場所/③議題)が含まれているせいで、読みにくさを感じさせます。
伝えたい情報ごとに文を整理したのが良い例です。簡潔にまとまっていて、伝わりやすくなっています。
文を頭から読み進めたとき、「読み返さなくても理解できる」のであれば、長さにこだわる必要はありません。ですが、長い文は総じてわかりにくくなりやすいので、文章のプロは、「短く削る」ことを強調しています。
読み手に心地よく読み進めてもらうためには、冗長さ(長くて無駄が多いこと)をなくす工夫が必要です。