春は新しい職場に移ったり、住む場所が変わったり、何かと環境の変化の大きい季節。変化の大きさゆえに体がついていかず、心身の不調が出る人も多い一方、平常心で淡々とやりこなせる人もいます。この二つをわけるものは、いったい何でしょうか。精神科医であり産業医としても活躍する井上智介さんに聞きました――。
春は心身の不調を訴える人が増える
異動や転勤で職場環境が大きく変わる3月、4月。新卒者は新生活がスタートします。環境が変わると、仕事内容も人間関係もがらっと変わります。またプライベートでも、心機一転、いろいろな資格に挑戦しよう、新しい趣味を始めようという気持ちになる人も多いでしょう。仕事にしろ、プライベートにしろ、それだけ変化が大きいと、心身の調子をくずして、僕のところに相談に見える方も多くなります。
「慣れない環境で頑張っているけれど、人間関係がうまくいかない」
「新しい仕事を始めたけれど、思うように進まない」
「スケジュールを詰めすぎて、いつも何かに追われている気がする」
そういった精神的なしんどさに加えて、全身がだるい、昼間はずっと眠い、イライラする、肩がこる……、体の不調を訴える人もいますね。
相談に来るのは圧倒的に女性が多い
相談に見える方は、圧倒的に女性が多いですね。30~40代を中心に、20代の新入社員の方もいます。女性のほうが多いのは、やはり男性よりも「人に相談する」ことに対する抵抗感が少ないからでしょう。男性は、なかなか自分の弱さをさらけ出すのが苦手です。人に相談すること自体、非常にハードルが高い。だからこそ、僕のところに届いたときには、深刻になっているケースが多いです。