夢に向かって努力したからこそ、世界に名だたるソニーが生まれた

まだソニーがトランジスタラジオしか作っていなかった頃、その商品をアメリカに持っていくと、「OEM(オーイーエム)だったら売ってあげます」という返事だったそうです。

つまり下請けとなり、ソニーの名前を伏せてアメリカの会社の商品として売るということです。あの当時、日本の多くのメーカーがそうしていました。しかし、そんな決断を迫られた盛田さんの返事は「NO」でした。

そして、ソニーの名前で、自ら売り出したのです。

といっても当時はまだ無名の、商品といえばトランジスタラジオしかない中小企業です。売上は伸びず、苦戦を強いられたことは想像に難くありません。

それでも、盛田さんは踏ん張り、工夫に工夫を重ねて売り続けました。決断を迫られたとき「OEMでいいです」と返事をしていたら、それほどの苦労はなかったでしょう。

しかし、そうしていたら世界に名だたるあのソニーは生まれなかったかもしれません。

私から見ると、盛田さんは目先の売上より、「この会社を世界一にして、ソニーの名を世界に知らしめる」、そんな「夢」を選んだということだと思うのです。そのとき、うまくいくという確信があったかといえば、決してそうではなかったでしょう。しかし「夢」に向かって、独自に歩く道を選択し、努力をしたことが、「運が強い」ということになったのです。

夢がない人は強運になれない

おそらく、多くのオリンピック金メダリストもそうでしょう。「オリンピックで金メダルを獲る」という夢を掲げ、まずは、日本一の選手になることを目指します。そのために、地域や地区大会で優勝→都道府県大会で優勝→全国大会で優勝、と昇り詰めていく。

そんな発展のプロセスをたどりながら、何年もかけて、膨大な練習量を積み重ね、金メダリストになっていくのです。

安田正『超一流の強運力』(ポプラ社)
安田正『超一流の強運力』(ポプラ社)

こうして、夢に向かって努力をし、階段を上っていくことが「強運」につながっていきます。逆にいえば、夢がない人はこの強運の物語の主人公にはなれません。ですから、まずはあなたの「夢」を決めることから始めましょう。それは壮大でなくても、身近なことでも大丈夫です。

「夢」のスケールは、今あなたが置かれている立場、経験値、実績、また好きなことや幸せだと感じることによりますから、他人と比較する必要は一切ありません。むしろ、他人の目は気にすることなく、自分自身を見つめ、本当に望んでいること、本音を洗い出しましょう。

いずれにしても、「夢」がないと、いったい何に向かって「運」を強めていったらよいのか、また、自分の「運」が強まっているのか、それとも弱まっているのかも、わかりようがありません。

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