日本漁船を追い回して威嚇、退去を強要

中国海上保安機関の海警局に武器の使用を認めた「海警法」の施行から1カ月が過ぎた。日本の海上保安庁(海保)によると、沖縄県の尖閣諸島周辺海域で中国海警船による挑発行動が異常に増えている。

機関砲(76ミリ砲の可能性)を搭載した1万トン級の中国公船船体に「中国海警」「2901」の文字[海上保安庁提供]=2020年5月
写真=時事通信フォト
機関砲(76ミリ砲の可能性)を搭載した1万トン級の中国公船船体に「中国海警」「2901」の文字[海上保安庁提供]=2020年5月

中国は尖閣諸島の領有権を一方的に主張している。海警法が施行された2月1日から28日までの1カ月の間に14隻もの海警船が尖閣諸島周辺の日本の領海に不法に侵入。操業中の日本漁船を追い回して威嚇し、無線や電光掲示板を使って退去を強要している。1月の不法侵入は6隻だったというから2月はその倍以上だ。

現場の海域では海保の巡視船が警戒を強めているが、中国の海警船の中には砲を搭載した船舶もあり、巡視船や漁船が射撃を受ける危険性がある。

アメリカとの親密さを示して、中国を封じ込めたい

領海内で漁をする漁船を無理やり追い払おうとする危険な行為は許されない。尖閣諸島は竹島(島根県隠岐の島町)と同様、日本固有の領土だ。その領有権は日本にある。2012年9月に日本は私有から国有に変え、国際社会に領有権をはっきり示した。竹島については2月25日の記事「『竹島に上陸する自衛隊は撃退する』韓国政府は日本との戦争を覚悟している」で触れたので今回は省く。

中国は国家安全維持法(国安法)を制定して香港の民主派を弾圧し、自国の一部とみなす台湾に対しては防空識別圏(ADIZ)への侵入を繰り返している。この台湾への威嚇については、2月2日の記事「『台湾は必ず防衛する』中国の挑発に対しバイデン新政権が示した本気度」で詳しく書いた。

中国の習近平(シー・チンピン)政権は他国にも一党独裁の牙をむく。尖閣諸島周辺の日本の領海に侵入がその代表例である。中国は自国が富むためには手段を選ばない。その中国が恐れているのがアメリカだ。日本はアメリカとの親密さを常に示し、冷静に中国の行動を封じ込めるべきである。