「欧米系ファンドが狙うのは地方のニッチトップ企業だ」
今後、こうしたSPACが日本市場に上陸し、不良債権を買収することも十分想定される。すでに投資ファンドについては、未上場株式や大手企業が本体から切り離すバイアウト資産の買収を狙って、欧米系大手のPE(プライベートエクイティ)が上陸している。
「欧米の投資ファンドのターゲットは当初は不動産であったが、それが日本企業のカーブアウトと呼ばれる非中核事業の切り離しに移っている。ターニングポイントは2018年の米べインキャピタルによる旧東芝メモリ(現キオクシア)の買収だった」(市場関係者)
そして、「今後は地銀等が抱える地方の融資先企業にターゲットが移るのではないか。欧米系ファンドが狙うのは地方のニッチトップ企業だ」(同)と見られている。潜在的な不良債権の重みに耐えかねた地銀が放出する債権が狙われている。
2月15日の東京市場は日経平均株価が前営業日比564円8銭高となり、30年半ぶりに3万円の大台に乗せた。3万円台はバブル崩壊直前の1990年8月以来となる。
上場企業の時価総額はバブル期に並んだ。株価高騰にバブルの既視感を覚えずにはいれない。
コロナ禍に即応して世界の中央銀行は過剰とも思えるマネーを市中に供給しており、実体経済の落ち込みとは対照的に株式などのリスク資産は高騰している。そうした過剰なマネーは投資ファンドを潤し、ハゲタカファンドの資金調達額は10兆円を超えると試算されている。メガバンク幹部は「企業債権をまとめ買いするバルクセールのオファーが寄せられかねない」と身構えている。