東京商工リサーチ「倒産が高い水準に反転する可能性」
東京商工リサーチの友田信男常務取締役情報本部長によれば、同社が毎月実施しているアンケート調査では、昨年、「前年同月と比較して減収の中小企業は4~9月の6カ月連続で80%を超えた。10月は60%台まで減少したが、11月には再び70%台まで増加した。業種にもよるが、中小企業では売り上げが2割減少すると多くの企業で赤字になる。資金供給が続けば倒産は抑制されるが、今後については厳しい見方をしている。倒産が高い水準に反転する可能性がある」と懸念されているという。
これに伴い金融機関の与信コストも拡大に転じている。すでに9月中間期において、メガバンク、地銀とにもコロナ禍の影響で与信費用は大きく増加している。
全銀協の三毛会長は、「先行きが不透明な中では予防的な引当金の積み増しも含め、各行とも保守的な対応を行っていくのではないかと思う。そうした中で、第4四半期に引当金を積み増すという動きが出てくることはあり得る。それぞれの取引先のポストコロナを見据えた中長期の事業力を評価し、適切な引き当てを検討しながら金融仲介機能の維持・発揮に努めていくことかと思う」との見方を示している。
不良債権の予備軍が「マグマ」のように膨れつつある
だが、金融の現場では年度末を控え、企業選別の動きも見られ始めている。
「コロナ後を展望して生き残りが難しいと判断される中小企業に対して信用保証協会は保証を拒否し始めており、金融機関も貸し出しの折り返しを拒むケースが出てきている」(大手信用情報機関)というのだ。
コロナ禍の影響はほぼすべての業種に及び、中小・零細企業を瀕死の状況に追い詰めている。財政・金融面の支援から倒産件数は表面的には低く抑えられているが、負のマグマは水面下で膨れ上がっている。コロナ禍を契機に中小企業は過剰な債務を抱えることになった。その解消は容易なことではない。
一方、不良債権の予備軍がマグマのように膨れ上がる中、世界的な金融緩和を背景にファンドの組成が急増している現状に注視する必要がある。
例えば――。