心の回復力を高める科学的手法

瞬間的に動けたとしても、途中で心が折れてしまっては、自分の目標や夢を達成するのが難しくなるのはいうまでもありません。

そこで必要になるのが、「心の回復力(レジリエンス)」です。心の回復力が強い人はどんな人なのかは、科学的にわかっています。

4つの特徴があり、ひとつめはまず「挑戦」しているかどうかが関係します。日常において、つねに挑戦ができている人は、心の回復力が強くなるといわれています。

挑戦といっても、小さなことで構いません。いつもと違うルートで会社へ行ったり、ランチに入ったことがない店で食べてみたり。なにか新しい行動を設定し、それを自ら実行できる人は、心の回復力も養われていきます。

自分に対して、なにか小さな挑戦を設定し毎日クリアしていくのもいいでしょう。例えば、他人になにかをしてもらったとき、ただ「ありがとう」といっていたのを、これからは目を見て「ありがとう」というようにするのはどうでしょうか?

買い物カートに積み上げられたハート
写真=iStock.com/pimpic
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こうした小さな挑戦をクリアしていくトレーニングを、日常生活のなかで楽しみながら続けることで、心の回復力はどんどん強くなっていきます。

人に感謝するだけでレジリエンスは高まる

ふたつめの要素として、「感謝」する習慣が、科学的に指摘されています。

他人に感謝できる人は幸福度が高く、多様な人間関係を有する傾向があります。友だちの数がただ多いだけではなく、様々な人と接する経験をとおして、ピンチのときにも自分で立ち直れる力が養われるのです。

そこで、意識的に「ありがとう」と口に出すなど、なにかを人にやってもらったら、必ず感謝することを意識してください。

私の場合、お礼をいうときは、必ず「名前+ありがとう」のかたちで伝えています。

仕事では、秘書から連絡がくるたびに、「○○さん、ありがとうございます」と伝えます。1日に何度もチャットでやりとりをしますが、最初の文言は、必ず「○○さん、ありがとうございます」ではじめ、そのあとに用件を続けます。

つまり、必ず「○○さん、ありがとうございます」とはじめることを、ルール化しているわけです。

日常でも、「お皿を洗ってくれてありがとう」「買い物に行ってくれてありがとう」と、感謝できるチャンスにはすべて、意識して「ありがとう」と口に出しています。

そう考えると、1日のなかで感謝できる場面は、本当にたくさんあることに気づかされます。

「ありがとう」ということは、ふだんの生活のなかで、無理なくレジリエンスを高められる最高のトレーニングです。