「ありがとう」は意外と言い慣れていない

感謝は心のなかでするのもいいですが、できれば口に出したほうが相手に伝わるのでよりいいでしょう。

そこで、まずは1日5回、誰かに対して「ありがとう」と伝えるトレーニングをしてください。ありがとうという言葉は、使っているようで、意外と使っていない言葉のひとつだからです。

かつての私も、日本一の個人投資家といわれた故・竹田和平さんが、1日3000回ありがとうといっていたと知り、反射的にありがとうと口をついて出てくるようにトレーニングしようと考えました。毎朝約40分の準備中に、「ありがとう」と1カ月言い続けたのです。

すると、もう最初の60回くらいで、ろれつが回らなくなりました。そのとき、「ありがとうって、意外と言い慣れていない言葉なんだ……」と気づいたのです。

その後、あきらめずに1カ月言い続けたところ、いまでは完全に体に記憶され、なにかあれば反射的に口から出るようになりました。いまでは、どんな人でも場所でも、ふつうに「ありがとう」と伝えられるし、お店でお釣りを返されたときなども、「ありがとう」と反射的に出てきます。

そのくらいになれば理想的ですが、まずは1日5回、意識的に感謝の気持ちを誰かに伝えてみてください。

続けていると、どんどん心の回復力も強くなっていくはずです。

心配ごとのほとんどは起きない

心の回復力を高める3つめの要素は、「楽観的な思考」ができるかどうかです。つまり、気持ちの切り替えがうまく、たとえ嫌な出来事があっても、「大丈夫」「たいしたことないよ」と思えるかどうか。

母親にカーネーションの花を手渡す少年
写真=iStock.com/kohei_hara
※写真はイメージです

もともとポジティブな性格の人なら、使う言葉を変えるだけでできるでしょう。嫌な出来事が起きても、「まあいいか」というようにルール化すればいいからです。

でも、なかなかそうは思えない人もいると思います。そんな人は、「不安や心配ごとの記録を取る」トレーニングをしてみてください。そして、1カ月ごとに見返します。すると、心配ごとのほとんどは実際には起きていないとわかるはず。多くの場合、本当は起きないことを、大きくとらえ過ぎてしまっているだけなのです。

そうして記録を見て自分で納得できてはじめて、「心配し過ぎることに意味なんてないんだ」と思うようになり、切り替えがうまくなっていきます。

皮肉なことに、1カ月前になにを心配していたかなんて、ほとんど覚えていません。つまり、不安や心配ごとはほぼ起きないのに、そのことを忘れてしまうから、次々と新しい不安や心配ごとが出てくるわけです。