ただし、ここで注意しなければならないのは、得意なことをすることが本当に自分にとって楽しくて、幸せを感じるのか? ということです。

楽しくもないのに、ただ得意だからという理由だけでそのことを続けるのは、ある意味で自分を置き去りにし、他人の期待に応えるだけの人生になってしまっているともいえるでしょう。

そこで私は、IKIGAIベン図といわれる図の「好きなこと」「楽しいこと」「得意なこと」、そして「人の役に立つこと」の4つが重なる部分から、目的地を探すのがいいと考えています。

IKIGAIベン図

4つの円の中心部分というイメージです。

本来、幸せに生きるためには、「好きなことか、得意なことか?」と、ひとつに絞ろうとして悩む必要はないのです。

理想と現実のギャップにどう向き合えばいいのか

「好きなことを仕事にしたい」「もっと自由に働きたい」と思う人も多いでしょう。でも、「目の前の仕事」は、それとは違う場合が多いのもまた事実です。この理想と現実のギャップに、どのように向き合えばいいのでしょうか?

実はそこには、「本当に『好きなことを仕事にしたい』と思っていない」という意外な盲点が潜んでいます。

この点に気づいていない人は、本当にたくさんいます。好きなことをして自由に働きたいし、もっといえば、年収も2000万円くらいあったほうがいい……。

でも、そんな理想を実現するには、代償となる膨大な努力や、多大な時間を費やす覚悟が必要です。それらがなくて、単純に「いいな」とうらやんだり、「うまくいかないかな」と願ったりしている場合がとても多いのです。

これは、ある行動を続けられない(習慣化できない)場合も同じ。「本当はそこまでやりたいことではない」から、続けられないわけです。

だからこそ、夢や目標を考えるときに、「それって本当になりたい姿なの?」と、自分にしっかりと問いかけてみてください。おそらく、問いかける時点では「なりたい」と思っているはず。ならば、「そのための代償を払う覚悟はある?」と突き詰めてみましょう。

本気でその覚悟があるなら進めばいいし、もしそこまで思えないなら、「自分にとってちょうどいい目的地はなんだろう?」と考えを深められます。

本当に自分が求めているものを考えていくと、結果として、より自分を知り、より多くを手に入れることができます。