<第45代大統領とは何だったのか。3つの結論から導き出せる混迷アメリカ政治の未来図:サム・ポトリッキオ>
トランプ アメリカ
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トランプ大統領の4年間がようやく終わった。私は第45代大統領のアメリカ史における意味を理解しようと眉間にしわを寄せて考えてみた。

前回の大統領選で敗れた民主党候補のヒラリー・クリントンは、元大統領夫人の資格でトランプの大統領就任式に出席した。このときクリントンは、権力の継続性と移行は重要であり、新大統領に思慮深い統治を望むと親しい友人に語っていた。

だがトランプの演説が始まると、過去に例を見ない大統領の誕生が明らかになった。演説終了後、すぐ隣に座っていた共和党のジョージ・W・ブッシュ元大統領はクリントンのほうを向き、「これはひどいな」と言った。

それからほぼ4年後、ブッシュとクリントンがアメリカ民主主義の将来を危惧した場所のすぐ近くで、トランプ支持者が自国政府を攻撃した──。

結論①トランプ主義は攻撃の政治だ。

トランプが政界で力を発揮し始めたきっかけは、オバマ大統領の出生証明書に難癖をつけ、大統領になる資格がないと主張したことだった。選挙戦ではクリントンを監獄に送ると宣言し、外国人を激しく罵った。トランプは既成のエリートに対する人々の恐怖や嫌悪感をあおり立て、現状に不満を抱く層が認識する脅威を全て解決するスーパーヒーローに自分を仕立て上げた。アメリカ人の30%近くを占める熱烈な支持者にとって、トランプへの攻撃は自分たちへの攻撃も同然だ。トランプ批判が激しくなればなるほど、彼らの忠誠心も高まった。

結論②トランプ主義はイデオロギーや政策ではなく、感情の産物である。

そして既成エリートが考えるよりずっと強力だ。共和党支持者の46.6%は党よりもトランプに共感を示し、31%はトランプに自分の党を立ち上げてほしいと考えている。この数字はトランプが政治に関与し続ける限り、トランプ時代が続くことを意味する。支持者の忠誠心はアメリカ史上どの政治家よりも強い。現在の支持率はピュー・リサーチセンターの調査では29%。退任時の大統領では近年最低だが、強固な支持者は決して見捨てない。もしトランプが共和党と決別した場合、トランプ新党はアメリカ第2の政党になる公算が大きい。

結論③トランプ主義は近視眼的かつ独り善がりで、現実をなかなか受け入れない。

問題解決のための処方箋も想像力もなく、最大の目標はどんな犠牲を払っても権力にしがみつくことだった。トランプは州や地方の当局者に不正行為を要求し、最高裁は自分に大統領の座を与えるべきだと言い放ち、副大統領に州の選挙結果を無視するよう求め、全てが失敗すると支持者を扇動して、連邦議会議事堂を攻撃させた。それでも支持者の74%が、トランプは選挙に勝ったと考えている。