ウイルスの殺し屋・キラーT細胞の活性化に発酵性食物繊維が効果的

感染症において、細菌が原因の場合と、ウイルスが原因の場合とでは、働く免疫システムが異なる。細菌は自身で増えることができるが、ウイルスは自身で増えることができず細胞に入り込んで増殖するためだ。その両方でT細胞は主役として活躍するが、ウイルス性の感染症では、ウイルスが入り込んだ細胞を標的にする「キラーT細胞」と呼ばれるT細胞が花形として活躍する。

「発酵性食物繊維を多く摂ると、キラーT細胞が活性化されることが最近の研究でわかっています。発酵性食物繊維とは、腸内で発酵しやすい食物繊維のことで、小麦ブランに含まれるアラビノキシラン、大麦に含まれるβグルカンが代表的です」と、免疫機能と腸内細菌に詳しい京都府立医科大学准教授の内藤裕二先生は話す。

また、発酵性食物繊維は他の免疫細胞も活性化させるという。

「発酵性食物繊維は大腸の奥で発酵して、短鎖脂肪酸を産生します。この短鎖脂肪酸は、免疫抗体のIgAやIgG抗体産生を活性化することが海外の研究(※)でわかっています」(内藤先生)

※2)Kim M, et al. Cell Host Microbe 2016, 20: 202-214

発酵性食物繊維を含む食品を多く摂取し、長寿で知られる京都府京丹後市では、100歳以上の高齢者の割合が全国平均の約3倍。昨年行ったアンケート調査では、「インフルエンザに罹患したり、肺炎で入院したことがありますか?」という質問に「はい」と答えたのはわずか1.6%(※)だったという。

※京都府立医科大学『京丹後長寿コホート研究』

免疫の曲がり角を過ぎたら、発酵性食物繊維を毎日の食事に取り入れることが重要になってきそうだ。