銀座千疋屋「確実に若い世代のお客様が増えた」

果物の販売を手掛ける銀座千疋屋(中央区)は、2020年1月にネットショップ のリニューアルを実施。後、3000円以下の商品をテコ入れしたところ、その価格帯の商品の売上が2017年比で56%増となった。

「確実に若い世代のお客様が増えました」(WEB事業部・山口十夢マネージャー)。

新しいネットショップの運営方法は斬新だ。インスタグラムに自社商品を投稿してくれた顧客を探し出し、商品の魅力を伝える良い写真があれば、ダイレクトメッセージを出してネットショップへの掲載を依頼する。

トップページには顧客が撮影した写真がズラリと並び、見ているだけでも飽きがこない。投稿された写真は共感が得られやすい写真のため、「クリックしたい」という気持ちがそそられる。お中元やお歳暮の文化が薄れつつある昨今、今回の新しい試みでインスタグラムを利用している若い世代にアプローチできるようになったことは、ネット通販の売り上げを大きく伸ばす足掛かりになったといえる。

フルーツを使ったスイーツの正方形の写真が並ぶ画面
画像=銀座千疋屋公式サイト
銀座千疋屋公式サイトにはインスタグラムの画像が並ぶ

これこそ顧客と共に作り上げるネットショップ

しかし、銀座千疋屋は創業1894年の老舗である。偏見かもしれないが、ブランドイメージを優先して、一般の顧客が撮影した写真をネットショップに掲載することに対して、社内の反対はなかったのだろうか。

「SNSを通じて、お客様にもブランドを育てる一翼を担ってもらいたい思いが強かったんです。最近は一般の方の写真のクオリティーも非常に高いので、社内では不安よりも期待感のほうが大きかったです」(広報室・柴田幸子さん)

写真掲載をお願いすると、ほとんどの顧客が喜んで写真を提供してくれるという。企業から一方的に情報を発信するサイトではなく、インスタグラムを通じて、顧客と共に作り上げるネットショップに、若い世代の消費者が惹きつけられている。