あなたのタイプは「エセソロ? ノンソロ? ガチソロ? カゲソロ?」
【中野】非常に興味深い図表ですよね。人とうまくやっていくのが得意な人か、不得意な人という分け方は本質に迫るものだと思います。もちろん、その得意不得意には生まれつきの要素も、後天的な要素もどちらもあるでしょう。エセソロとノンソロは、ほかの人と一緒にいても自分の領域をちゃんと守れて、バランスよくつき合える人たち。
ガチソロとカゲソロは、ほかの人がそばにいると不快に感じる人たち。人に親切にするのもどちらかといえば苦手で、関係の初期にはがんばって親切にするけれども、ずっとそれを続けるのは負担になってしまうタイプですね。
【荒川】生まれつきは変わらないものなんですか?
1歳半までの愛着関係が人づき合いを左右する?
【中野】生まれつきの要素と、後天的に育まれる要素、どちらもあります。後天的な要素はほぼ1歳半くらいまでで決まると考えられています。具体的には、生後6カ月から1歳半。ある脳内物質レセプタの密度が決まる重要な時期です。カギになるのは、養育者との関係。この時期に適切な愛着関係が築けていないと、誰かがそばにいることを好まない、あるいは逆に一人でいたいわけではなく、過剰に誰かに近づこうとしてぎこちなくなり失敗する、というケースが多くなります。
【荒川】昨今、未婚者が増えているのは、1歳半までにその適切な関係が築けていない人が多かったということですか?
【中野】そう言うと、親御さんを責めているように聞こえてしまいますが……。さまざまな事情によって、養育者と子どもとの(愛着)関係にはバリエーションが生まれるのは事実です。1歳半までの養育者との関係によって、その後の人生で他者とのつき合い方が異なってきます。
私の著書でも紹介しているように、イギリスの精神科医のジョン・ボウルビイやアメリカの発達心理学者メアリ・エインスワースらによって確立された「アタッチメント理論」(愛着理論)によれば、愛着スタイル(人間関係を築くうえでベースとなる認知の様式)には「安定型」「回避型(拒絶型)」「不安型」などのタイプがあります。ここではざっくり説明しますが、次のような特徴を持つと考えられています。
・回避型 他者とのフランクな関係の構築には消極的
・不安型 他者に対する過度の期待や失望、喪失の危機感を抱く傾向が強い
つまり、タイプによっては他者とともに過ごすことが得意でない人もいます。もちろん、ソロが悪いというわけでなく、一人で過ごすほうが向いているとそもそも感じやすい脳の人もいるということです。
【荒川】なるほど、みんなが結婚に向いているわけではないんですね。結婚は義務ではないですから、当然ながら自分に合った適応戦略を取ればいいですよね。