ビジネスのアイデアを思いつくにはどうすればいいか。ビジネス数学教育家の深沢真太郎氏は「ものごとの見かけではなく、構造を捉える訓練をすればアイデアを思いつくきっかけを掴める。そのためには普段からたとえ話を考えておくといい」という——。(第2回/全2回)

※本稿は、深沢真太郎『数学的思考トレーニング 問題解決力が飛躍的にアップする48問』(PHPビジネス新書)の一部を再編集したものです。

ビジネスアイデア・コンセプト
写真=iStock.com/Peshkova
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「お酒を出せないと儲からない」の本質的な意味

【演習問題】
居酒屋における「飲み物」と似ているものを挙げてください。
(一見違うけれど、実は構造が同じもの)

この本を書いている2020年秋の時点で、まだ世の中は新型コロナウイルスの混乱の中にいます。中でも居酒屋は極めて大きな影響を受けています。自治体からの要請で、営業時間の短縮や「お酒を出すのは○時まで」といった制限をせざるを得ないお店も少なくありません。そうした中、ある居酒屋の店主はこのようなことを言っています。

「お酒を出せないと、儲からないんですよ……」

居酒屋はその名前の通り、お酒をたくさん注文してもらわないと儲からない構造になっています。冷奴や焼き鳥が安く食べられるのは、別のもので儲けが出ているからです。

そこでこの居酒屋の商売を簡単に構造化してみます。まず「塊」として(食べ物)と(飲み物)の2つがあります。さらに特徴として、(食べ物)にはおかわりはほとんどありませんが、(飲み物)にはおかわりが頻繁にあることも挙げておきます。

こう整理すると、居酒屋の商売はいかに飲み物をおかわりしてもらうかがポイントになりそうです。つまみを1品だけ頼んで後は数時間ずっとお酒をおかわりし続けるお客様が、店側にとっては「いいお客様」ということだと思います。