※本稿は、深沢真太郎『数学的思考トレーニング 問題解決力が飛躍的にアップする48問』(PHPビジネス新書)の一部を再編集したものです。
日常生活を定義することでポリシーが生まれる
定義とは数学で最初にする行為です。例えば三角形について研究したければ、まず三角形を明確に定義しないことには始められません。
三角形であって三角形でないものが存在してしまうと数学は始めることができない。これはとても重要なことです。おそらくあなたは今後の人生において、机上の数学の問題を解く機会は少ないでしょう。ではいつ定義するという行為を必要とするのか。答えはひとつしかありません。日常生活です。
そこで問題です。
【演習問題】
「休日」を定義してください。
定義とは定めること。「○○とは~~である」と言語化する行為です。すなわち、次の1行の空欄を埋める行為に他なりません。
休日とは、__である。
もちろんここに絶対の正解はありません。100人いれば100通りの顔があるように、100通りの答えがあるでしょう。
休日とは、仕事をしない日である。
休日とは、働くエネルギーを蓄える日である。
休日とは、家族サービスというめんどくさい業務が生じる労働日である。
重要なのは答えそのものではなく、その答えにたどり着くまでのプロセスです。仮にあなたが「休日とは、仕事をしない日である」と定義したとします。その答えは、このような思考により導いたものではないでしょうか。
そうであるもの=「休日」にあるもの = 仕事をしない時間
そうでないもの=「休日」にないもの = 仕事をしている時間
休日にはいっさい仕事をしないというポリシーを持つ人は、おそらくこのようにして休日を定義しています。そして休日には仕事をせず、休日以外の日に仕事をするというはっきりした線引きをして人生を送ることができます。