空気を汚さずに暖房力があり、月々の電気代が低コスト

それでは、どういった暖房器具を使うといいか。選ぶ指標としては、空気の汚染、暖房力、コストが挙げられるが、総合的に優れているのはエアコン。空気を汚さずに暖房力があり、月々の電気代が低コストであるためだ。一級建築士の加藤真哉氏はこう語る。

「エアコンは『ヒートポンプ』という原理で、投入する電気エネルギーよりも多くの熱エネルギーを使うことができるのです。しかしエアコン以外の電気を使う暖房設備、例えば電気ストーブやオイルヒーターなどは、エネルギー消費量がとても多くなってしまいます」

こたつも、小さな空間だけを暖めるので発熱量(消費電力)が電気ストーブやオイルヒーターの半分以下であり、うまく使えば省エネになる。

だが、小さなホットカーペットやこたつなどのような部分的に暖めるものよりも、エアコンやオイルヒーターなど、室内全体を暖めて室温を上げるもののほうが健康の観点からはいいだろう。

室内が湿度過剰になって、結露やカビができてしまう

反対にできる限り避けるべきなのは、石油ストーブなどの開放式燃焼器具だ。暖房力は強いが、いわば部屋の中で“焚き火”をしているようなもの。加えて室内にカビを発生させやすい。

日本エネルギーパス協会代表の今泉太爾氏は、“暖房加湿器”と表現する。

「石油ストーブは燃焼時に水分が出るのです。そのため室内が湿度過剰になって、結露やカビができてしまう。燃焼時には一酸化炭素など有害物質も一緒に発生するため、定期的な換気が必須になります」

ただし、石油ストーブの中でもFF式と呼ばれるものは燃焼ガスを給排気筒から室外に排気するため、湿気を出さず空気も汚さない。

エアコンを使う前にはフィルターを掃除してから使おう。エアコンそのものは空気を汚染するものではないが、夏の冷房使用後にカビが生えやすいため、そのままの状態で冬も使用すると空気が汚れやすい。最近はエアコンと空気清浄機が一体化しているものもあるので、検討してもいいかもしれない。