アリババはワクチン供給拠点を建設
王毅外相はこの会議の席上、「健康のシルクロード」について、「新型コロナウイルス対応で重要なワクチンや医薬品、医療物資について、入手可能で、公平にアクセスでき、負担可能な水準であるよう尽力する」と宣言。これに加え、「習近平国家主席が公表した20億ドルの国際援助を活用した、新型コロナウイルスの影響を受けたパートナー国に対する経済支援」とその定義を明確に述べている。
こうした政府による旗振りのもと、「健康のシルクロード」は着実な成果を生み出しはじめた。
AFPによると、世界を代表するEコマース大手となったアリババは、アフリカ、中東向けのワクチン供給拠点となる倉庫をエチオピアとアラブ首長国連邦(UAE)のドバイに建設。一方、中国政府はブラジル、モロッコ、インドネシアなどにワクチン生産施設の建設を始めている。
「ワクチンを各国に送って、それぞれの国民を助ける」という格好にはなっているが、こうした目に見える拠点を一帯一路の関係国にとどまらず、中南米へも手を広げている。コロナ禍を通じて、結局は中国を利する形になっている事実は見逃せないだろう。
ワクチンが「外交の具」となっている
なお、中国製ワクチンは、中国国内ではまだ承認されていないが、医療従事者や外交官などに限っては中国国内で緊急使用されている。中国政府は「100万人以上に接種したが重大な副作用はない」とし、「物流業者や公共交通機関の職員らも対象に加える」と発表している。
中国では目下、ワクチンに対する国際的プレゼンスを高めることが最大課題だろう。国内より先に、国外承認を先に得たというのは、今後「ワクチン外交」に大きな弾みとなるに違いない。
お正月を前に、日本では感染拡大が収まらない。各国でのワクチン承認の報道が広がる中、どのような作戦で承認、接種と進めていくのだろうか。すでにワクチンが「外交の具」となる中、適正な時期、入手方法で接種が広がっていくことを期待したい。