菅首相は「創価学会」と太いパイプを持っている
自民党内の予想では、広島3区も公明党に軍配が上がるとの見方が強い。この問題は11月19日、山口氏が菅氏と会談した際、斉藤氏の擁立決定を伝達。菅氏は特に発言はしなかったが、黙ってうなずいていた。公明党側は「容認」と受け止め、その情報は自民党側にも伝わっている。
菅氏はもともと公明党や、その支持母体である創価学会と太いパイプを持っている。これは、山口氏との関係がよそよそしかった安倍晋三前首相とは決定的に違う。それだけに、最終判断も公明党寄りになる可能性が高いとみられているのだ。
毎日新聞が12月12日に行った世論調査の結果は菅政権に衝撃を与えた。内閣支持率は前回比17ポイント減の40%、不支持率は13ポイント上がって49%になった。菅内閣が誕生以来、不支持が指示を上回ったのは初。安倍内閣下でも、たまに不支持が支持を上回ることはあったが、これほどの「逆転現象」はほとんどない。
不支持が支持を上回る「逆転現象」で公明党に存在感
これは、新型コロナウイルス対策での対策への不満が高まっているのが要因だ。間違いなく1年以内に衆院選が行われることを考えると、自民党にとっては危うい数字だ。
菅氏は選挙対策にも長けているだけに、世論の動向も重視している。浮動票が取りにくいと見切れば、確実な組織票・つまり創価学会票の荷崩れを防ぎ、守りを固めようとするだろう。そう考えれば、より一層、自民党が公明党に歩み寄るシーンが増えてくるかもしれない。
その判断は、政権運営の手段としては正しいだろう。ただし公明党に譲歩を続けると、自民党内の空気が悪くなることも予想される。
公明党は自民党との長い連立関係の中で「下駄の雪」と言われてきたことがある。「踏まれても、踏まれてもくっついていく」という意味だ。その「雪」が、自己主張を強くするようになれば「下駄」も面白くない。菅氏は、その難しい連立関係も差配していく重荷も背負うことになる。