エコ流行りの昨今、「環境にやさしい」イメージを前面に打ち出したマーケティング活動が目につく。だが、今後は安易にエコを謳うと「グリーンウオッシュ」と批判を浴び、かえって評判を落とすかもしれない。

環境の「グリーン」とごまかし策を意味する「ホワイトウオッシュ」を合わせたこの造語は、根拠があいまいなエコPRで消費者に間違った印象を与える行為を指す。すでに欧米ではメディアや環境NGOから厳しい批判を浴び、広告規制が行われてもいる。

英国では環境にやさしいSUV車と主張したレクサスの広告が、英広告監督委員会により出稿を禁じられた。確かに同クラス車との比較では優れていても、環境に全く害がないという誤解を招きかねないと判断されたのだ。

環境にいいか否かの判断は、実はとても難しい。仮に前モデルより使用電力の少ない新製品を発売したとしても、全く電力を使用しないわけではないし、買い替えが進めば廃棄物も増える。途上国にある工場では児童を就労させ、有害物質を撒き散らしているかもしれない。部品の原料調達から納入までをたどれば、思わぬところで深刻な環境負荷が見つかることだってある。

つまり、環境への影響はその製品だけでなく、全部品のサプライチェーンやライフサイクル全体の情報がなければ判断できない。にもかかわらず、都合のよい情報だけに依拠したグリーンウオッシュが増え、消費者がミスリードされる事態が頻発すれば、環境マーケティングはやがてうさん臭いものとして受け止められるようになるだろう。