通勤手当は月15万円までは非課税

通勤手当とは、自宅から会社までの往復の交通費の実費を会社で負担する手当のことをいう。公共交通機関で通勤する場合、通勤手当は月15万円までは非課税だが、15万円を超えると給与として取り扱われて所得税が課税される。マイカー通勤の場合には、その距離によって上限が異なる。

通勤手当は月15万円までは非課税だが、労働保険料や社会保険料を計算する時には対象には含めて計算するので、その点については注意が必要になる。

新型コロナウイルスによる働き方の変化に合わせ、自宅で仕事をする上で光熱費などの負担が増えることを補う等の趣旨で、「リモートワーク手当」を支給する企業が続々と登場した。

コロナ禍で新設された手当は原則として課税されてしまう

富士通は2020年7月6日に今後の働き方改革の取り組みについて発表した。2022年度末に向けてオフィスの規模を半減する計画で、約8万人の国内グループ従業員の勤務形態をリモートワークを基本とするとしたのだ。それに伴い通勤手当の支給を廃止し、在宅勤務の環境整備費用補助として「スマートワーキング手当(月額5000円)」の支給を開始した。

ヤフーは2020年10月から回数の制限なく自由にリモートワークが行える「無制限リモートワーク」を行うこととした。勤務形態の変化に合わせて通勤手当を廃止し、その代わりに「どこでもオフィス手当(月4000円)」「通信費補助(月3000円)」の支給を開始した。

人材会社のパーソルホールディングスは2020年10月から、正社員6500人に対し「リモートワーク手当」の支給を開始した。グループ各社で支給額は異なるが、2000~4000円になる見込みだ。リモートワーク手当の支給に伴い、通勤手当を廃止した。

ところで、手当とはいったいどいうものを言うのだろうか。手当とは基本給以外に支払われる賃金のことをいう。そして、その手当は、以下の大きく2種類に分けられる。

・残業手当・深夜残業手当・休日出勤手当など法律上支給しなければならない手当
・通勤手当や出張手当、住宅手当など会社が任意で決める手当

ここで注意すべきは、残業手当や休日出勤手当のほか、条件に応じて支払われる職務・役職手当や、住宅ローンや家賃負担の低減といった名目で支払われる住宅手当などは、給与の一部と見なされ、課税対象となるという点だ。

「リモートワーク手当」と聞くと、従業員の負担を軽減させるよい施策のように思える。通勤手当に代わる手当として、もてはやされている感があるが、コロナ禍における新設手当は、原則課税対象であり、実質手取りが減少するという現象も起きている。