筆者が5月に上梓した『おとめ六法』では、恋愛・くらし・しごと・結婚など6つの章だてで、女性に起こりうる様々なトラブルに「どう法的に対処すべきか」が解説されていますので、興味がある方はチェックしてみてくださいね。

アカウントに脅迫のコメントが届いたら

「脅迫」とは生命、身体、自由、名誉または財産に対して、害を加える旨を伝えて脅す行為です。これを、「害悪の告知」といいます。「○○されたくなければ××しろ!」といった具合に、金銭や行為を要求しなくとも成立します。害悪の告知には、「殺す」「刺す」「家に火をつける」「デマを流す」「個人情報を晒す」などがあります。

【事例】
SNSで有名人に対して否定的な投稿をしたところ、そのファンから批判のコメントやメッセージが殺到。中には「必ず殺す」などの文言もあった。
【ANSWER】
「必ず殺す」と書かれたメッセージは「生命に害を加える旨を告知して脅迫する」行為に該当し、刑法上の脅迫罪が成立します。警察への被害届の提出や、民事上の損害賠償や慰謝料の請求などを検討する余地があります。また、SNSの運営会社へ「報告」すれば、脅迫してきた人のアカウントを凍結できる場合があります。

「訴える」「法的措置を取る」などと言われたら?

これらの場合は通常、脅迫にはあたりません。これらの行動は本来、正当に行使しうる権利で、「害悪の告知」ではないからです。ただし、実際に訴えるつもりがないのにそのように言うと、脅迫罪になるケースがあります。

深夜の仕事でストレスを感じている若いビジネスパーソン
写真=iStock.com/PeopleImages
※写真はイメージです
上谷 さくら(著)、岸本 学(著)、Caho(イラスト)『おとめ六法』(KADOKAWA)
上谷 さくら(著)、岸本 学(著)、Caho(イラスト)『おとめ六法』(KADOKAWA)

SNSでの脅迫に法的措置を取るには、準備が必要です。脅迫する言葉が書かれたメッセージや投稿と、それらを送ってきたアカウントがわかるよう、スクリーンショットや印刷などをしておきます。

準備をしたら、警察署へ電話をして相談したい内容を告げれば、すべきことを指示してくれます。その指示に従って、必要な資料の提出や説明を行います。

民事上の損害賠償請求を行うには、SNSやウェブサイトの運営者を相手とする発信者情報開示請求を行います。開示によって脅迫者の氏名・住所がわかれば、裁判ができます。

【あなたを守る法律】
第222条 脅迫
1 生命、身体、自由、名誉、または財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役、または30万円以下の罰金に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉、または財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。
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