知らずに動脈硬化が進行していると怖いことが…

プレーにおいても、ラウンド中に水分をあまり摂取せずに脱水状態になり、血液がドロドロのままプレーを続けるケースもあるでしょう。

そうした状態の方で、もし動脈硬化が進行していた場合などは、さらに危険な状態へと進みかねません。血管内にLDLコレステロールが付着し、動脈壁に取り込まれ、「こぶ」のようなプラーク(粥腫しゅくしゅ)が形成されている場合などは、より危険です。

プラークは非常にもろく、くずれてしまうと、そのプラークの「傷」をふさごうと血小板が集まってきて、血栓となってしまうのです。その血栓で冠動脈がふさがって狭くなったり、詰まったりしてしまいます。そうなると、血液の流れが止まり、急性心筋梗塞を引き起こす“下地”ができてしまうのです。

胸の痛みで左胸をつかみます
写真=iStock.com/Chaichan Pramjit
※写真はイメージです

そこに、起伏の激しいコースを歩いて回ったり、スイングやパットによって心臓に大きな負荷がかかったりするわけですから、突然死のリスクはよりアップするのです。

ゴルフ前日は十分な睡眠を、当日朝は薬を飲み忘れずに

また、いったんコースに出ると、救命の体制が整っていないことが多いのも、突然死が増える一因になっています。

かつて、ある大手企業の社長がラウンド中に心筋梗塞で倒れてそのまま亡くなってしまったことがありました。その時も、その場で蘇生措置は行われず、次の組を回すために倒れた社長の周りに囲いを作っただけでした。万が一の場合に備え、どのような救命措置を行うかをシミュレーションしておくことは重要です。

心臓疾患を抱えている人はもちろん、生活習慣病を指摘されている人がゴルフをする際には、以下のことを実践してください。

①前日はしっかり睡眠をとって、服用している薬は飲み忘れない。
②プレーする前にしっかりウォーミングアップをして、急激な心拍数の上昇を防ぐ。
③飲酒や喫煙をしてプレーすることは避ける。
④水分補給や保温を心がける。
⑤過度なプレッシャーがかかるような勝負はしない。

リスクを減らしながら、楽しくプレーしたいものです。