スタートアップの若手が大企業の若手より優れている理由

【島村】売り上げや利益は目標でしかないんです。目的は「私たちの技術で世の中の役に立つ製品を作っていく」ということ。それをお客さんが認めてくれて初めて価値が付いてくるわけだから、本質的なことをやるべきだと感じました。

冨山 和彦『コーポレート・トランスフォーメーション 日本の会社をつくり変える』(文藝春秋)
冨山和彦『コーポレート・トランスフォーメーション 日本の会社をつくり変える』(文藝春秋)

【岡島】「自分がどう付加価値を出したいか」ってことが、わからなくなっている人たちもいる。ミレニアル世代へお勧めしたいのは、やはり試合に出てみることです。試合の中から新しいイノベーションの種や、ミッションが生まれてくる人も多い。大企業に入ると、“なんちゃってコンサルタント”みたいになりがちだから、とにかく試合に出て、意思決定の機会を得てほしい。スタートアップに出向するなどもありだと思います。

【入山】最近、ONE JAPANに問題提起してることですが、大企業の若手人材とスタートアップの若手人材を見比べると、スタートアップのほうが明らかに上だと感じます。彼らは1日何個もヤバい意思決定をしている。それを毎日やり続けたら年間数千件も意思決定をしていることになるわけです。これは力になる。

【冨山】でもずっと練習している人っていて。練習場で球打っている場合じゃないと。会社も当然、トランスフォーメーションしなければいけないけど、最後に大事なのはやっぱりそこで働く人の変革。つまりPX(パーソナル・トランスフォーメーション)。一人ひとりが変わる必要があるんです。他律から脱却して、まず自分がどう行動を変えるか、社長をどう使い倒すかを考えたらいい。社長は将棋でいうコマ。そのコマを動かす人間は誰でもいいんですから。

【島村】とはいえ、最初から社長は動きませんよ。だからまずは自分が勇気を持って一歩踏み出す。そして一人でやれることは限られているので、周りを巻き込んで、いいチームを作る。そうやって仲間を増やしていくことをお勧めします。そうすればきっと社長も動きます。

(構成=小林こず恵)
【関連記事】
まもなく絶滅する「普通のサラリーマン」を待ち受ける三重苦
バカほど「それ、意味ありますか」と問う
「大企業ほど本気でヤバい」コロナ後に企業の明暗を分ける10のリトマス試験紙
「ハンコ廃止はハンコのためだけに非ず」日本の押印文化が抱える本当の問題点
エリートコースから脱線した「早慶OB・現役生の残酷すぎる現実」