500円のチルド麺なら、1個売れるごとに2円のマージン
また、監修を依頼する店選びにも抜かりがない。
「ちゃんといいブランドを確保していて、しかもその関係が長く続いているんです。『すみれ』や『一風堂』とのコラボは、インスタントカップ麺を含めればもう20年ぐらい続いているはず。店との間に強い信頼関係があるので、セブン-イレブンはブランドの再利用もうまいんです。チルド麺では今年の夏、『とみ田』と組んでコンビニオリジナルの冷やしまぜ麺を出したし、カップ麺ですが『一風堂』とのコラボで店では出していないまぜそばを商品化したり、『蒙古タンメン中本』とは冷凍食品のカレー味汁なし麺を新開発したりしています」(A氏)
となると少々下世話な話ながら気になるのが、こうした監修商品で店側にどれほどのマージンが入るのかということ。
「250円程度のインスタントカップ麺だと、1個売れるごとに監修した店に1円のマージンが入るのが相場と言われています。チルド麺の場合は販売価格が500円前後と2倍しますから、マージンの額も倍程度といったところではないでしょうか」(A氏)
開発協力の手間を考えれば、まったく割に合わないが…
昨今、チルド麺はもちろんカップ麺でも100万個売れる商品はほとんどないという。とすれば、監修する店にとってはさほどうまみのあるビジネスではないように思えるのだが……。
「開発協力の手間を考えれば、監修商品が20万個や30万個売れたぐらいでは全く割に合いません。だから店側としては、宣伝と割り切って協力している面が強いんです。店の名を冠した商品が全国のコンビニに並んで人の目に触れるということは、実店舗を訪れる客の数の比ではないので、ものすごい宣伝効果があります。その店がない土地の人にも知ってもらえますから、『今度あの街に行くことがあったら、コンビニともコラボしていた○○のお店で食べてみよう』という流れを作れるんですよ。コンビニ側が店にオファーを出す際も、そういったメリットを説明しながら口説いていると聞きました」(A氏)
すでにおなじみになっているところだけでなく、今後は新たな有名店が監修したチルドラーメンの登場も待たれるところだが、前出の大崎氏が過去一番〈うまい!〉と感じたのはどの店とのコラボ商品だったのかを、締めくくりとして尋ねてみたい。
「調味料の進化も手伝って、このところコンビニのチルドラーメンは以前にも増して日進月歩でクオリティーが上がっているんです。だから現在出ている商品が、史上一番うまい商品。そして今後出てくるものは、もっとうまくなっているでしょう。どんどんおいしいものを出していかないと、お客さんが追いかけてくれませんからね」