最高裁判決に対し、翌日の紙面で即座に反論する朝日社説
10月14日付の朝日新聞の社説は、13日の「非正規側が敗訴した大阪医科大と東京メトロ子会社の判決」を取り上げ、書き出しからこう主張する。
「訴えが退けられたからといって、働く環境の改善に向けた歩みを止めてはならない」
「非正社員に対する待遇格差の当否が争われた二つの裁判で、最高裁はきのう、企業側が賞与や退職金を支払わなかったのは不合理とまではいえないとする判決を言い渡した」
非正社員側に敗訴を下した最高裁判決に対し、翌日の紙面で即座に反論するところは実に朝日社説らしい。だが、その論の進め方は「正義の味方」という感じがして、沙鴎一歩にはどうしても鼻につく。
朝日社説は「働く者より経営側の事情を重くみた感は否めず、曲折を経ながらも進んできた格差是正の動きに水を差さないか心配だ」と最高裁判決に異議を唱える。
「企業は判決を都合良く解釈するな」
さらにこうも指摘する。
「一方で、今回の結論がすべての労働現場に当てはまると考えるのは大きな間違いだ。働いた対価の後払いか業績に連動した報酬かなど、賞与や退職金の性質や算定方法は企業によってさまざまだ。裁判所がそうした事情を精査・検討した結果、格差が不合理にあたると判断する場合ももちろんある」
「厚生労働省が2年前に定めたガイドラインも、会社の業績への貢献に応じて支払う賞与については『同一の貢献には同一の支給を』と明記している。各企業は今回の判決を都合良く解釈することなく、自社の制度が均衡原則にかなうものになっているか、不断に点検し、必要に応じて見直す必要がある」
「すべてに当てはまると考えるのは間違い」「企業は判決を都合良く解釈するな」との指摘や主張には素直に賛成したい。
問題はここからだ。朝日社説は最後にこう訴える。