野党勢力が呼応し、政界再編の口火になる可能性も

そして、この混乱は思わぬ方向に化学変化を起こす可能性がある。

公明党は拙速な改憲論議には慎重だ。一方で、野党側には積極的な勢力がいる。日本維新の会は、野党ということになってはいるが、改憲勢力の範疇に位置づけられる。菅新政権誕生後は、さらに接近をはかるともいわれる。

国民民主党は、袂を分かった立憲民主党と差別化するために与党との改憲論議には前向きに応じる構え。独自の改憲草案のとりまとめを目指している。

玉木雄一郎氏は、BS番組で与党との改憲論議について「静かな環境の中で与野党が胸襟を開き議論していくことが必要だ」と発言している。

衛藤氏が主導して一石を投じたことで、これらの野党勢力が呼応し、改憲論だけでなく政権の枠組みの変化にもつながる可能性がある。衛藤氏がどこまで緻密に計算しているかはわからないが、結果として野党が反応する展開となれば、安倍政権下で全く進まなかった改憲問題を新たな段階に進めるだけでなく、野党再編のきっかけをつくることになるかもしれない。それはそれで、菅氏にとって悪い話ではないのだ。

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