特例を除いて75歳以上は運転禁止で構わないのではないか

毎日社説はさらに指摘する。

「今年の上半期に、75歳以上の運転者による死亡事故は175件起きた。死亡事故全体が減少する中で昨年の同時期を上回っている」
「免許を持っている人数当たりで件数を見ると、75歳未満の2.3倍に上る。原因の4割を操作ミスが占めるのが特徴だ」
「心身の衰えを自覚できず、家族の忠告も聞かずに運転し、大事故を起こしたケースもある」

統計的にも高齢ドライバーの危うさは明白だ。自分だけが命を落とすだけではなく、事故の大半は周囲の人を巻き込む。

毎日社説は「こうした状況からすれば、免許に一定の制限を課すのはやむを得ないだろう。事故防止のため、実効性のある仕組みが欠かせない」と主張する。ただ、これは甘いのではないか。自主返納が一番だが、沙鴎一歩は75歳以上を運転禁止にしても構わないと思う。ただし特例や例外は必要だ。

初公判を取り上げたのは、全国紙では毎日社説だけだった

毎日社説は書く。

「しかし、人口減に伴って公共交通は縮小し、地方を中心に車が生活の足になっている実態がある」
「高齢者が手軽に移動できなくなれば、社会とのつながりが薄れ、健康の悪化も懸念される」
「地域の実態に合わせながら、高齢者の移動手段を確保する取り組みも進めていく必要がある」

厳しすぎるかもしれないが、75歳以上は原則禁止としつつ、例外として生活に車が欠かせない地域においては運転を認める、という制度設計も考えられるのではないだろうか。

なお、この連載では各紙の社説を読み比べているが、今回の高齢ドライバーの交通事故問題について、全国紙では毎日社説しか扱いがなかった。他紙は池袋の事故の判決が出る来年の時点で取り上げようと考えているのかもしれない。

しかし、団塊の世代が75歳の後期高齢者に達する「2025年問題」も近い。高齢ドライバーの問題は避けて通れない。これだから社説は読まれないといわれるのではないだろうか。残念だ。

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