勉強したことって、実践したくなる
「実は、大前研一さんが学長を務めるビジネス・ブレークスルー大学で働いていたことがあって。その頃に、さまざまな経営戦略や財務諸表の読み方を勉強しました。勉強したことって、実践したくなるじゃないですか(笑)。それもあって、ビジネスオーナーになりたいと思うようになりました」
前のオーナーから事業を受け継ぎ、すぐに事業承継のメリットに気づいたという。
「起業と違い、お客さんがもともといるのはメリットでした。前オーナー時の売り上げは毎月横ばいでしたが、コネもビジネスモデルもない私でも、初月から最低限の売り上げは確保できたのです。さらに調べてみると、オンライン販売やSNSアカウント運用、顧客データも取っていなかった。そこにテコ入れしたことで、コロナ禍での休業はあったものの、順調に売り上げは増えています」
現在の月商は約140万円で、月々の借入返済、テナント料、人件費、仕入れ費などを引けば手元に残る額はわずかだというが、今後事業が順調に推移すれば、新たな店舗展開も見えてくるという。
「オーナー変更で元からいるスタッフとのコミュニケーション問題に悩まされる人もいるようですが、私はスタッフにインセンティブ制度を設けるなどして働きやすい環境を整えました。経営理論で学んだことを活かせる“実習”という意味でも、事業承継の道を選んで本当によかったです」
(撮影=鈴木俊之)