若い世代の居酒屋で増えている

こうした進化系ポテサラが提供されるようになった背景としては、昔ながらの居酒屋に対して比較的若い世代の店主が近年開業した「NEO居酒屋」などとカテゴライズされる店が影響しているように思える。こうした店は個性が最大の売りであり、ポテサラひとつ取ってもほかと同じではつまらないと、あの手この手で特色を出そうとするからである。

これに対して、昔ながらのポテサラ、つまりは蒸したりゆでたりしたジャガイモをつぶして、ハムやタマネギ、キュウリ、ニンジンなどの具材と一緒にマヨネーズで和えたオーソドックスなポテサラを愛好する人たちも存在する。彼らにとってみると、こうした進化系ポテサラに違和感を覚えるかもしれない。しかしながら、そもそもポテサラというのはもっと自由な存在である。

「ポテサラ」に似た料理は世界中にあったはずだ

ポテサラの起源は、諸説あるようだが、有力とされているのはロシア説。ロシアで150年前に誕生した「オリヴィエ・サラダ」と呼ばれる料理であり、これがポテサラの起源というわけだ。ただし、仮にそれが事実だとしても、この料理がどのように日本に伝わったのかがわからない。ほかにもドイツ説、フランス説もあるにはあるようだが、ロシア説と同様に決め手に欠ける。ジャガイモは世界各地で栽培されており、ポテサラに似た料理は世界中で食べられていたはずだ。「起原」を探すというのが、どだい無理な話なのかもしれない。

というわけで、もともとポテサラは国の数だけ、いや、つくり手の数だけその形があるものなのだ。それが日本の場合は、マヨネーズの普及にともなって、あの定番のポテサラが一般家庭で食べられるようになった。1900年代初頭にご存じキユーピー株式会社の創始者である中島董一郎氏が、缶詰の勉強のためにアメリカに渡った際にマヨネーズを食べて感銘を受け、日本で製造、販売にこぎつけた話は有名だ。