料金値下げの努力に加え、現在取り組んでいるのが、非価格競争力の強化です。これは、信頼され選択される四国電力をどうつくり上げていくかということです。このためお客様の立場に立った発想で、積極的に現場に出向いて提案しサポートしていく体制づくりを強めているところです。

わが社には多種多様な技術者がいます。電気の専門家はもちろん、火力発電では熱や蒸気の専門家、機械の専門家、電圧を変える変電技術者、それに情報通信の専門家も。大口のお客様から蒸気や熱をもっと効率的に使いたいという要望があれば、彼ら技術陣を動員して相談に応ずるというコンサル業務を2001年度に始めました。初年度は34件でしたが、06年度には589件となり、まだ増え続けています。

また、小口のお客様に関しては、電化住宅が注目を集めています。台所で火を使わないため、安全、清潔で、湯もすぐに出ると奥様方から好評です。電化住宅の普及には、我々も積極的に取り組んでいますが、各営業所のPRでは限界があります。500人の社員が10人のお客様にPRしても相手は5000人にすぎません。しかし、奥様方に口コミで広めていただければ、その影響力は膨大なものになります。そういった考えからアフターサービスの徹底に努めているところです。

かつて最下位の成績であった四国のある自動車ディーラーが、顧客に徹底したアフターサービスを行ったところ、口コミでそれが伝わり数年後に成績が上位にランクされるようになったそうです。それを手本として、使っていただいたお客様が「当社のファン」になっていただけるようなアフターサービスをしなければいかん、とハッパをかけているところです。

四国電力は、販売電力量が東京電力の10分の1、関西電力の6分の1と電力10社の中で規模は小さい。その小さい会社が大手と競争するときに何が強みなのか、よく考えてみると、小さいゆえにもてる「スモールメリット」が3つある、と私は言っています。

1つは、社員とお客様との距離が近いこと。2つ目は社員同士の距離が近いこと。3つ目は社員と設備との距離が近いことです。お客様との距離が近ければサポートができますし、社員同士の距離が近ければコミュニケーションもスムーズになる。多くの社員が設備にふれ熟知することで、運用やコストダウンに創意工夫がはたらきやすくなります。現場こそが事業力の源泉であり、現場からのアイデアは一つずつが財産です。この3点を最大限に生かすことが当社の強みにつながると、社員を勇気づけています。