地域ごとにチャンネル番号が異なっている背景

また1968年からは、極超短波(UHF)を用いたテレビ局も登場した。UHFはチャンネル数が多くとれるものの、遠距離へは電波が届きにくいため、地方の独立局に多く用いられた。チャンネル番号は、13~62チャンネルが充てられている。

ただし地方局の収益力は低く、番組制作能力も限られていた。勢い、これら地方局は東京や大阪のキー局と提携し、番組を供給してもらうようになる。こうしてテレビ局のネットワーク化が進むが、親会社との関係などで何度も移籍が起こっており、その歴史は複雑怪奇だ。こうしてわかりやすい付番などは望むべくもなくなり、地域ごとに全く異なるチャンネル番号という面倒な状況が生まれてしまったのだ。

地上デジタル放送開始前の、東名阪三地区のチャンネル番号を図表1に示す。同一地区内では番号が隣接しないよう(3・4チャンネルを除く)、また隣接地区ではなるべく同じ番号が用いられないよう設定されているのがおわかりいただけるだろう。

地上デジタル放送開始前の、東名阪三地区のチャンネル番号

地デジ化でチャンネル番号に変化が

こうして複雑なままに固定化されてしまったチャンネル番号だが、21世紀に入って大きな変革が訪れる。地上デジタル放送の開始がそれだ。前述のように、VHFの電波帯には混信を避けるために空きチャンネルが多く設けられており、極めて非効率だ。デジタル放送の技術を用いれば混信の心配はなく、チャンネルの間を詰めることができるため、貴重な電波を有効活用することができる。

地デジ放送開始後のチャンネルは、以下のように整理された。NHK教育テレビ(Eテレ)は2チャンネルで統一されたが、NHK総合は中京地区や北海道・富山・福岡などで3チャンネルのまま残された。関東の民放では日本テレビ・TBS・フジテレビは変わらず、テレビ朝日が10→5、テレビ東京が12→7へと番号が若返った。関東の3、中京の7~9、近畿の3、5、9などの番号は、地域の独立放送局が使用している。

中京テレビが35→4、テレビ大阪が19→7などとして、系列の親局に合わせたところもあったが、番号を変更しないままのところも多かった。他局との調整の難しさもあっただろうが、やはり長年慣れ親しんだ番号を変えたくなかったのだろう。チャンネル番号の数字を局のロゴマークにしているところなども多く、イメージ刷新はそう簡単ではない。

地デジ放送開始後のチャンネル