地上デジタル放送の開始以来、NHKは全国ほとんど1チャンネルとなったが、中京地区は3チャンネルがNHKで、1チャンネルはフジテレビ系の東海テレビになっている。これはなぜなのか。サイエンスライターの佐藤健太郎氏は、「周波数の割り当てという技術的な問題が背景にある」という——。

※本稿は、佐藤健太郎『番号は謎』(新潮新書)の一部を再編集したものです。

日本のテレビのリモコン
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毎日目にするのに謎の深い番号

筆者は関東地方で育ったので、テレビのチャンネルといえば1、3、4、6、8、10、12であった。しかし子供のころ、この不思議な並びがどういう理由でできたか、不思議でしかたがなかった。2や5を使わない理由は何なのか、なぜ3と4の間だけくっついているのか、周りのどの大人に聞いても誰も知らなかった。実は、今やたいてい何の疑問にでも答えてくれるグーグル検索に当たってみても、すっきりした解説には行き当たらない。

また、テレビチャンネルは地方によっても異なる。TBS系列を例に取ると、関東では6チャンネルだが、中京地区のCBCテレビは5チャンネル、近畿地区の毎日放送は4チャンネルだ。

地上デジタル放送の開始以来、NHKは全国ほとんど1チャンネルとなったが、中京地区は3チャンネルがNHKであり、1チャンネルはフジテレビ系の東海テレビが占めている。旅行先のホテルでテレビをつけてみたら、どうにも見たい番組が見つからず、リモコン片手に首をひねった経験のある方は多いだろう。

なぜチャンネル番号はかくもややこしいのか。これを探っていくと、テレビ放送の技術的な問題と、複雑怪奇なテレビ局の歴史に行き当たる。