小泉進次郎大臣は日本の政治家なのか

日本から直接的に海洋に排出しているプラスチックごみは年間4万トン程度とされている。これは日本で年間生産されるプラスチックごみ全体の0.5%以下の数字にすぎない。どのようなことをしても漏れは一定数であるため、これは日本人が限界まで取り組んだ結果と言えるだろう。2010年段階で隣国の中国は最大年間約400万トンの海洋排出可能性が指摘されており、日本とは比較にならない環境汚染が行われている。

日本のプラスチックごみの回収・燃焼システムは非常に高度なものであり、日本からの海洋プラスチック問題は深刻ではなく、さらにその中のレジ袋の占める割合など極僅かなミクロな問題でしかない。

したがって、プラスチックごみ対策のためには、日本の技術・社会システムを輸出して利益を上げることこそが重要であり、日本にレジ袋有料化を輸入することを推進することなど論外だ。今更、日本国民の意識改革など不要だ。

これが、筆者が「小泉進次郎大臣は日本の政治家なのか」と主張するゆえんである。彼は海外で流行っているものをむやみに日本に持ち込み、日本国民の生活・経済を破壊するパフォーマーにすぎない。むしろ、日本の政治家ならこれを好機とみなし、日本の社会システムを海外に売り込んで利益を上げることに注力するべきだ。

日本から輸出された廃プラスチックは東南アジアの経済を支えた

また、日本に海洋プラスチック問題に一定の責任があるとしたら、それは日本からの廃プラスチックの輸出に伴う、中国・東南アジア各国からの海洋排出の問題だろう。日本は年間140万トン程度の廃プラスチックをアジア各国中心に輸出してきた。日本から輸出される廃プラスチックは各国で安価な資源として利用されることで、それらの国の経済成長を支える一助となってきた。

しかし、廃プラスチックを輸入してきた国の人々は、日本人と同じように高度な廃棄物処理システムや高い国民意識を持つことはできず、河川などを通じてプラスチックを海に放ってきた。近年になって中国は廃プラスチックの輸入を禁止したため、日本からの輸出は東南アジア中心となり、現在でも年間90万トン程度の輸出が続いている。しかし、それらの輸出も徐々に輸入国が禁止し始めているので、いずれは日本からの輸出が難しくなることは明白だ。したがって、今後、日本は輸出用の廃プラスチックを国内で処理する仕組みを適切に動かすことが求められることになるが、これは国民の意識改革とは関係なく、単なる設備投資・維持更新の問題である。