完璧主義は「恐れ」から生まれる

完璧主義の核心にあるのは、高い水準ではありません。恐れです。

失敗する恐れ。愚かに見える恐れ、間違いを犯す恐れ、評価され、批判され、バカにされる恐れ。一つの単純な陳述が本当かもしれないという恐れ。その陳述とは……自分には何かが足りない。

最初に断っておくと、これは真っ赤な嘘です。確かに、夢を達成するには、スキルや強さを身に付ける必要があるかもしれません。誰だってそうでしょう? しかし、必要なものがあなたに根本的に備わっていないという概念は嘘です。あなたの頭の中でそういう嘘をつく声は、何度も繰り返し、ひどく陳腐なデタラメを垂れ流します。その声には絶対に従ってはいけないのです。

次のことを知っておいてください。自分には何かが足りない、という恐れは人間誰しも持っています。誰も彼もが――本当に一人残らず、という意味です――その恐れと戦っています。この恐れが、本格的な完璧主義に転移した場合に問題が発生します。

なぜなら、完璧主義は麻痺性だからです。完璧主義を患うと、あなたは苦しみ続け、ハムスターウィールを回し続けます。しかし、行き詰まるだけでは済まず、危険ははるか広範囲に及びます。完璧主義は、あなたをのど輪攻めして人生を巧みに生きる力を押さえ込んだ暁には、何としてもあなたの息の根を止めようとするからです。

きちんとやりたいと思って諦めるのはもったいない

完璧主義とは、究極の自虐である。――アン・ウィルソン・シェフ(アメリカの社会病理学者)

何か新しいことをしようと思っても、きちんとやりたいという気持ちが強すぎて、諦めてしまうことがあまりに多すぎます(しかもハナからきちんとやろうなんて、まったくイマイマしい!)。

私たちには、うまくやりこなしている自分のイメージを世間に示したいという欲求があります。初心者になるための心のゆとりや寛容さを持つことに、ほとんどあるいは全く耐えられません。完璧主義は行動パターンではなく、自分自身についての破壊的な考え方です。間違い(または失敗――縁起でもないけど)を犯す時、自分の行動だけでなく、自分の人となりにも失望します。

完璧主義がどれほど破壊的になり得るか、いくつか例を挙げましょう。2003年から2006年に行なわれた研究で、直近の自殺者の友人と家族にインタビューし、衝撃的な事実が明らかになりました。亡くなった人の半数以上が、親しい人から「完璧主義者」と形容されていたのです。

別の研究では、誠実な楽天主義者が長生きする傾向があるのとは対照的に、完璧主義者は早世する傾向があることが明らかになりました。20年以上に及ぶ研究で、ポール・ヒューイット博士と同僚のゴードン・フレット博士は、完璧主義が、うつ病や不安神経症、摂食障害など、心の健康問題と相関関係にあることを発見しました。

完璧主義は致命的です。あなたの健康と幸せ、生産性にとって有害です。悲しくも皮肉な展開ですが、最高の自分になり、最高のことを成し遂げ、最高の気分になることを妨げる元凶となっています。役に立つことは何一つありません。