日本法人は原宿にあるが、業務請負契約先はなぜかオランダ

ここで私は、自分が経験したウーバーイーツ配達員からの被害と、その件に関する海外本部からのメールの的外れぶりや誠意のなさをA氏に伝えた。

「世間の人はよく誤解しているんですけど、ウーバーという会社自体が、配達サービスをやっているわけではないんです。彼らは、注文者と配達員をマッチングさせているだけ。だからウーバーイーツのアプリって、見ず知らずの男女を引き合わせるマッチングアプリと同じなんですよ。商品の配達そのものを行っているのは、ウーバーの従業員ではなく、その仕事を請け負った“パートナー”という名の個人事業主だというのが、彼らの考え方です」

だから極力、パートナーが起こしたトラブルの責任を負おうとしないし、企業の存在も表に出さないようにしているというのが、多くの配達員がウーバーに対して抱いている認識だという。

「日本法人の登記がある場所は原宿のレンタルオフィスの一室なんですが、僕たち配達員が業務請負契約を結んでいるのはその日本法人ではなく、オランダにある海外本部なんです。なぜわざわざ、そんな面倒くさい仕組みにしているのか……」

やはり私のところへ来たメールは、海外本部からの発信だったのだ。

配達員に非がなくても、保険適用の事故に遭うと「クビ」になる

「安全意識にしても、街中の第三者に対する場合を含めた接客態度にしても、すべてが配達員個人の裁量に任されていますから、中にはタチの悪いのもいますよ。そして運営側の対応のひどさについては、実は配達員も日頃から感じていることなんです」

いったいそれは、どういうことなのか。

「業務中に困ったことがあったら電話で相談できるサポートセンターというのがあるんですが、オペレーターはマニュアル通りの対応しかできず、まったく役に立たない。また昨年9月までは、事故を起こした際に配達員本人を補償する保険にも社として入っていませんでした。そして保険制度ができて以降も、保険が適用されるような事故に遭った場合、配達員に非がなくても、アカウント停止、つまりクビになってしまうんです。そんな企業ですから、顧客や第三者への対応にも誠意なんて期待できませんよ」

では今後、配達員の運転マナーや、ウーバー自身の対応が改善する可能性はあるのか。

「今のようにサービスの利用者がどんどん増えている状況が続く限り、どんな告発や警告もウーバーは無視するでしょうね。でも、そんな体質に疑問を持った人々の間で全国的な不買運動が広がったり、ウーバーのシェアを脅かし、しかも良心的な経営理念を持つデリバリー業者が台頭してきたりしたら、さすがの彼らも考えを改めるかもしれません」

警視庁「安全対策の徹底と交通ルールの順守を申し入れ」

この記事を書くにあたり、自転車による料理宅代行配業者の危険運転対策について、警視庁に問い合わせた。その回答は以下の通りだ。

「料理宅配代行業者の自転車配達員に限らず、自転車利用者に交通ルールを順守させるための取り組みとして、悪質性、危険性の高い違反行為に対しては、交通切符等を適用した積極的な取り締まりを実施しております。また一部の料理宅配代行業者に対しては、自転車の交通事故を防止するため、事業者への交通安全に関する情報提供と、事業者を通じた自転車配達員への情報配信等を推進してきているところであり、今後も継続してまいります」

「一部の料理宅配代行業者」とは、最大手のウーバーイーツを指しているのだろう。冒頭で触れた高速道路への配達員乗り入れ騒動の後、警視庁はウーバーイーツに対し、安全対策の徹底と交通ルールの順守を申し入れたと報道されている。

リモートワーク時代の人々を支える、新たな生活インフラとなるのか。それとも、路上の凶器となってしまうのか。社会におけるウーバーイーツの立ち位置の決め手になるのは、他ならぬ彼ら自身の企業姿勢なのだが……。

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