ウーバーから返ってきたメールはまるで要領を得ない

釈然としない気持ちを抱えつつ、不本意ながらウーバーイーツのアプリをダウンロードし、自分のアカウントを作った。そして問い合わせフォームに歩道上での事故未遂の顛末と、当該の配達員を特定しての厳重注意を求めること、さらに全配達員に対して安全運転教育を徹底すべきだとの要望を記して、送信した。

ところがウーバーから返ってきたメールはまるで要領を得ない。

末尾に記された住所と返信者名から推察すると、オランダ・アムステルダムにあるウーバー海外本部の日本人スタッフが担当しているようなのだが、とにかく毎回、返信担当者が替わる上、こちらの文面を精読しておらず、見当はずれな回答が続くのだ。5往復以上のメールのやりとりをしても、私の身に起きたことやウーバー側に求めていることを理解してもらえず、話が前に進まない。これ以上不毛なやりとりに付き合っていては私の神経のほうがやられてしまうとあきれ果て、結局、ウーバーとの連絡をこちらから絶ったのである……。

自転車配達員を始めてから2年半がたつA氏の証言

なぜウーバーイーツの配達員は、わが物顔で無法運転をする輩が目立つのだろうか?

この疑問の答えを求め、伝手をたどってウーバーイーツの現役自転車配達員A氏に実態を聞かせていただくことにした。

自転車配達員を始めてから2年半がたつA氏。インタビュー場所にも自転車でやってきた。
自転車配達員を始めてから2年半がたつA氏。インタビュー場所にも自転車でやってきた。(撮影=河崎三行)

インタビューの会場は、都内のビジネス街近くにあるファミリーレストランだった。約束の時間より少し早く店の前まで着くと、片側2車線の車道の路肩を逆走(右側走行)してきた自転車が目の前で歩道に乗り入れ、そのままこちらに向かってきた。そして私のすぐ横をすり抜けるように走り去っていった。自転車を操る男は、「Uber Eats」と書かれた四角いバッグを背負っていた……。

だが、その配達員はA氏ではなかった。A氏がやってきたのは、待ち合わせ時間ちょうど。写真撮影もあるだろうからと、わざわざ自分が普段の配達で使っているバッグも持参してくれていた。彼のバッグは、形こそ他の配達員が使っているものと同じだが、背面にロゴがない。ウーバーが配達員に支給(正確には有償貸与)するバッグにはいくつか種類があって、ロゴなしのバージョンもあるらしい。

A氏は自営業とのWワーク。副業としてウーバーイーツの自転車配達員を始めてから、2年半がたつ。同サービスの日本上陸が2016年9月だから、相当なベテランだ。

「ここまで続いている最大の理由は、週単位で報酬が振り込まれる金払いの早さと、自分の都合のいい時、気が向いた時に稼働できる勤務時間のフレキシブルさですね」(A氏。以下同)

かといってウーバーイーツの仕事に心底ほれ込んでいるわけではなく、配達員の労働環境の劣悪さにはかなり批判的だ。つまり、是々非々の立場で自らの副業と対峙している。