「あっさり志向」と「濃い志向」の二極化

「プライドポテト」は4種のフレーバーによって、消費者の両極端の嗜好をカバーしている。「感激うす塩味」「芋まるごと 食塩不使用」がシンプルな味を好む人向け。「神のり塩」「衝撃のコンソメ」がしっかりした味を楽しみたい人向けだ。

「ここ3年ほど、消費者がポテトチップスに求めるフレーバーは二極化が進んでいます。健康志向が強い40代以上は『素材の味を求めたい』『あっさりめがいい』『重たくない味にしてほしい』。若い世代は『濃く、はっきりした味がいい』」(野間氏)

「KOIKEYA STRONG」と「じゃがいも心地」
写真提供=湖池屋
「KOIKEYA STRONG」と「じゃがいも心地」

湖池屋が「プライドポテト」以外でその二極化をカバーするブランドが、「じゃがいも心地」と「KOIKEYA STRONG」だ。

「みんな好き」ではなく「自分向け」を狙う

2018年9月に発売された「じゃがいも心地」は「ジャガイモを食べている」ことを実感できるナチュラル系の雄。ほくほくした食感、繊細かつ絶妙な塩加減が大人ユーザーに絶賛されており、メインの客層は30代後半から40代の女性だという。なお、前述の「ポテチ会」2019年大会では、「じゃがいも心地 オホーツクの塩と岩塩の合わせ塩味」がエントリー23商品のなかで最多ポイントを獲得し、栄えある優勝を飾った。

一方の「KOIKEYA STRONG」は対照的に、ガーリックバター、サワークリームオニオン、シーフードグリルという濃厚を追求した3フレーバー。同商品を担当しているマーケティング本部 マーケティング部第3課 課長代理 下阪紘平氏は「『みんながなんとなく好きなポテトチップス』より、はっきりと『自分向け』とわかる商品であることが重要。マーケティングに際しては、いわゆるN1分析(ある1人の顧客を深く分析する手法)を心がけている」という。

元来あっさり系の位置づけだった「じゃがいも心地」はこの6月、男性客の新規開拓を狙って「ペペロンチーノソルト」を新発売した。味付けはスパイシーで“やんちゃ”。今までの「じゃがいも心地」にはなかったがっつり系だ。1ブランドで両極を狙う商品展開というわけである。