専門家会議を廃止する安倍政権のやり方は歪んでいる
それでは新聞の社説を読んでみよう。
6月30日付の産経新聞の社説(主張)は「専門家会議廃止 声引き出し政治が責任を」との見出しを付けて専門家の意見の重要性を訴える。
「国の方針を決めるときに重要なのは、専門家の意見がきちんと届き、どう反映されたかが見える透明な仕組みにすることだ。政府の方針は逆行していないか」
専門家の意見が政策の決定の礎となり、政策決定の流れがはっきりと私たち国民の目に見えるようにする。これが重要なのである。
この後、産経社説は「異なる分野の専門家を集めて議論は深まるか。闘う相手は感染症である。医学や感染拡大に関する専門家の見立ては不可欠であり、単独で存続させるべきだ。経済や危機管理の専門家による分科会も別途設けて意見を聞き、政策決定は政府が行う」と指摘し、「それが筋ではないか」と主張する。
その通りである。感染症対策の専門家の意見は貴重だ。その専門家会議は独立したものとして存在させるべきである。もちろん経済政策面での会議も別に設置すべきである。
誰が意思決定をしているのか分からない安倍政権
産経社説が指摘するように、「新型コロナウイルス対策の専門家会議を廃止し、改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく有識者会議の下に、新型コロナ対策を議論する分科会を新設する」という政府の方針は、歪んでいる。国民の生活を守るという政治本来の流れに逆行する。
産経社説は書く。
「専門家の役目は、自らの知見に基づき、声を上げることだ。世の中が危機にひんしていると気付いたら、真っ先に大きな声で訴えなければならない。象牙の塔にこもり、危機を感じても黙っている専門家には存在意義がない」
これもその通りであるが、沙鴎一歩が思わず膝を打ったのは次のひと言である。
「問題はむしろ、誰が意思決定をしているのか分からないと指摘された安倍晋三政権の方であろう。進むべき道を決定するのも、責任を負うのも、政治家の職責で行われるべきである」
最後に意思決定して責任を取るのは、やはり政権の役目なのである。