専門家会議の記者会見には謙虚さがにじみ出ていた
次に朝日新聞の社説(6月26日付)を読んでみよう。
朝日社説は「ちぐはぐな対応に不信を抱いた人も多いのではないか」と書き出し、「当の専門家会議には改組の発表が伝えられていなかったというのだから驚く」と批判する。
中盤で朝日社説はこう指摘する。
「一方で、この会議が政策を決めているかのような印象を与えたのは否めない。おとといの西村氏の表明と同じ頃、知らずに会見を開いていた座長らは、自省も込めつつ、政策に責任を負うのは政府であり、『専門家との役割分担を明確にすべきだ』と提言した。あわせて示された、地域での感染状況を迅速に把握できる体制の整備や、感染症疫学の専門家育成などとともに、的を射た指摘である」
朝日社説が言うように記者会見で示された専門家会議の指摘は納得できた。記者会見自体に謙虚さがにじみ出ていた。それに比べ、廃止を伝えなかった西村経済再生相の姿勢は残念だ。
安倍政権はすべての責任を専門家に押し付けた
さらに朝日社説は指摘する。
「専門家会議が前に出過ぎだとの批判は確かにあった。だが、その責任の多くを負うのは政府の側というべきだ」
一連のコロナ対策で責任を負うべきなのは安倍政権なのだ。朝日社説はさらに手厳しく安倍政権を批判する。
「専門家の意見を聞かぬまま、首相が2月末に大規模イベントの自粛や全国一斉休校を要請して批判を浴びるや、一転して専門家会議に丸投げするような言動を重ねた。4月に緊急事態宣言を出した後は、安倍首相も西村担当相も、国会や会見で方針を聞かれるたびに『専門家の意見を踏まえ』を繰り返し、自らの言葉で説明し、理解を得ようという姿勢を欠いた」
安倍政権は責任を専門家に押し付けたのである。安倍首相と安倍首相の威を借る西村氏にはもっと謙虚になってコロナ対策に当たってほしい。