当選3回のときには自民党総裁選に出馬したことも
西村氏は1962年10月15日に兵庫県明石市で生まれた。現在、57歳。名門の私立灘高校から東京大学法学部に進み、1985年に通商産業省(現経済産業省)に入省した。その後、2003年11月の衆院議員総選挙で兵庫9区から出馬して初当選し、6回の当選を重ねている。安倍政権下で内閣官房副長官や外務政務官などの要職を歴任した。かつての海部内閣で自治相・国家公安委員会委員長を務めた元衆議院議員の吹田愰が岳父だ。
なかでも2016年8月には安倍晋三・自民党総裁のもとで総裁特別補佐・筆頭副幹事長、選対副委員長に就任し、翌年8月には内閣官房副長官に就任している。安倍首相に尽くして信頼され、与党との連絡調整から経済、外交まで幅広い仕事をこなしてきた。
いわば安倍首相の「お気に入り」なのである。安倍首相にうまく取り入ったところなどは公職選挙法違反(買収)事件で東京地検特捜部に妻とともに逮捕された前法相の河井克行衆院議員と似ている。
野心は強い。最近の記者会見では「新型コロナの対策にあたった経験を必ず日本の将来に生かしていきたい。私自身が先頭に立って取り組んでいく」と語るなど、ポスト安倍を虎視眈々と狙っている。当選3回のときには自民党総裁選に出馬したこともある。
自分よりも立場の弱い専門家会議のメンバーには横柄
西村氏は6月24日の夕方、専門家会議の尾身副座長に廃止を伝えようとしたが、すでに専門家会議の記者会見が始まっていて間に合わなかったという。しかし、これは疑わしい。連絡が取れないなら、24日の記者会見後に尾身氏ら専門家会議のメンバーに伝え、そのあとで自らの記者会見を行えば済む話だ。
専門家会議の記者会見を知って、先手を打とうとしたのではないだろうか。専門家会議に記者会見で安倍政権の対応や政策のまずさを批判され、安倍首相にそのことを指摘されるのを恐れたのかもしれない。そうだとすれば馬鹿げた話だ。
西村氏はテレビに映る立ち居振る舞いとは違い、霞が関の官僚や新聞・放送記者の間では西村氏の評判はあまり良くない。安倍首相の虎の威を借り、その態度はかなり横柄だという。自分よりも立場の弱い専門家会議のメンバーに廃止を伝えることなど考えもしなかったのかもしれない。