「箇条書き」を挟むと要点が伝わりやすい

ただし、私が2009年に上梓した『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)で述べた「ネットでウケるネタ9項目・ネットで叩かれやすい10項目」は研究の末に書いたものなので、自信はある。書中では「断言しよう、ネットでウケるネタは以下のものである」と強気の文言で前置きをして(1)~(9)までを紹介した。

この分類して箇条書きしていく「箇条書き論法」は同書で使って以来、いろいろな原稿で多用しているのだが、その理由は、読者がこれらを「重要なポイント」「著者がもっとも主張したい事柄」と認識してくれるからである。実際、ブログなどに書き込まれた『ウェブはバカと暇人のもの』についての書評では、この2つの箇条書きが多数引用されていた。書評を書いてくれる人は「これはぜひシェアしたい」「自分にとって役立った」と思えるポイントを引用するのが一般的だ。私がまとめた「ネットでウケるネタ9項目・ネットで叩かれやすい10項目」の箇条書きも、役に立ったと思ってくれたのだろう。

だが、この「箇条書き論法」には若干、目くらましの面もある。読者に対して、過度に「これが重要なのだな」と思わせてしまうのだ。だからこそ、本当に重要な事柄を述べるとき以外は、あまり使わないほうがいいやり方といえるだろう。

好きな文体は積極的にまねてみる

また、好きな文体や筆致があるなら、それをまねてみるのもいい。私の場合、作家の椎名誠氏と漫画家の東海林さだお氏の文章にかなり影響を受けている。この2人の著書は何度も、徹底的に読み込んできたので、エッセイやコラムを書くときは言い回しをまねることも多い。

ビジネスに関する書類では、会社員時代の上司・T氏のつくる書類をまねてきた。特徴は、伝えたいことが明快な言い切り調の文体と、以下のようなわかりやすい構成だ。

【1】今回の狙い
【2】導きたい結論
【3】そのための手法の考え方
【4】具体的手法案
【5】得られる成果
【6】想定できるリスク

項目を立てて、そこに箇条書きでアイデアやポイントを書き連ねながら、流れるように企画の趣旨を説明していく。このまとめ方を、私は今でも踏襲してビジネス書類を作成している。

現在、私は古巣の広告代理店・博報堂で業務委託として“週一社員”をしているため、こうした企画書を頻繁に書くようになったのだが、改めて「T氏スタイル」の有効性を痛感している。とにかく文章は、わかりやすくするのが吉だ。